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所得低いほどキムチ食べない

インスタント食品・ファストフード依存に懸念

 京畿道城南市にある建物の地下に住む小学校3年生のウネちゃん(仮名)は「調理師になってキムチを漬けるのが夢」というが、最近家でキムチを食べたのがいつだったか、よく覚えていない。ウネちゃんの家族は昨年末、あるテレビ番組に出演し、キムチ冷蔵庫をプレゼントされたが、まだ一度も使ったことがない。夫と死別し、女手一つで子供たちを育てているウネちゃんの母親は、「2年前、地方に住んでいたころはキムチを漬けていた。キムチを漬けるにしても野菜の値段は高すぎるし、ニンニクや唐辛子粉など味付けに使う材料もいろいろ必要なので漬ける気になれない」と話す。

 ウネちゃんの家族はたいてい朝食抜き。子供たちは学校で給食を食べる。キムチが食べられるのはこのときだけだ。おなかがすけばパンやソーセージを買って食べる。夕食はラーメンで済ませたり、ピザやチキンを出前で取って食べたり。ウネちゃんは「キムチが食べたいけれども、家では食べさせてくれない。学校ではキムチをおかわりしている」と言った。

 ウネちゃんだけではない。所得が極めて低い家庭でキムチが食べられないのは、キムチ自体が「高級食品」になってしまったからだけではない。キムチを食べるにはご飯を炊いたり、別のおかずを作ったりと「料理する過程」が必要なので、時間に追われ、経済的な余裕がない人々にとっては家でご飯を食べるのが一苦労なのだ。その一方で安いファストフードが増えていることから、キムチを食べなくなる現象が広がりつつある。

 ワシントン大学公共保健学科研究チームは今年初め、「米国では、繊維が多い食品よりも、繊維が少なくカロリーが高い食品の価格上昇率のほうが低いので、貧困層の“ファストフード依存”が深刻化している」という論文を発表した。韓国も同じだ。農林部が毎年11月に集計・発表する「キムジャン(越冬用のキムチの漬け込み)費用」は2003年の13万680ウォン(約1万3790円)から去年は16万2160ウォン(約1万7112円)へと24%も上がっているが、同期間でファストフードの代表であるハンバーガーの値段は11%の上昇にとどまっている。

 エアコン・メーカーのウィニア・マンドの顧客調査結果も常識を覆した。全国20~69歳の主婦900人を対象に、キムチの消費形態を調べたところ、所得水準とキムチの消費は正比例していることが分かった(表参照)。キムチ1株を1~3日で食べる家庭は、月収500万ウォン(約50万円)以上では46.3%だったが、300~500万ウォン(約30~50万円)の家庭では37.2%、300万ウォン(約30万円)未満では37.9%だった。一方、キムチ1株をひと月で食べる家庭は月収500万ウォン以上では1.2%に過ぎなかったが、300万ウォン未満では3.6%と3倍も多かった。また、キムチの消費量は学歴や年齢とも比例していることが分かった。

 こうした問題点を深刻に受け取っている一部福祉団体や機関は、極貧家庭にキムチを配っているが需要に追いついていない。ウネちゃんが暮している城南市では去年12月末、韓国国際飢餓対策機構・農協ハナロマート・GSホームショッピングなどがキムチを寄贈した。低所得家庭1世帯当たり4~5株のキムチが配られたが、1人当たりの平均キムチ消費量はひと月に1.3株(保健福祉部国民栄養調査、1株2キロと換算)なので、4人家族ならひと月でなくなってしまう量だ。

 韓国国際飢餓対策機構のキム・ギスク福祉士は「最大の問題は低所得層の子供たちがインスタント食品やファストフードに慣れてしまうこと。キムチのボランティア活動にもっと関心を持ってほしい」と訴えた。

キム・ソンユン記者

キム・シニョン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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