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2008.7.17(木)
本日の日記
 
スペシャルドラマ 歓喜の歌 撮影日記

2008年7月17日(木)

嬉野であります。

むかし、ネコを飼っていました。

「だからどーした!」

とまぁ言われればね奥さん、
そらぁそれまでの話ですがね、

しかしながらね奥さんね、

さすがにこのタイミングでそんな突っ込んだことを私に言ってくる人は居ないというかね、私の耳には届かないということでね、
かまやしねぇなとばかりにですね、
わたしゃ、どんどんと書いていけるわけですよ。

まったくね奥さん。
双方向性じゃないということはすばらしいね。

ということで、
ネコの話を続けますよ。

飼ってたんですよ、ネコをね。

飼っていたというか、居ついていたというのかね。
まぁ一緒に寝起きしていたんです。

あれは結婚するずっと前のことでした。

東京でひとり暮らしをしていた頃でね、
22歳くらいでしたよ私は。
いやぁ若い。

ある晩のことね、
部屋に居るとずいぶん近くでネコが鳴くのです。

ニャーと。

その鳴き声があまりにも近くてね、
まず驚いたの。

東京という街は、その頃、野良猫がいっぱい往来で生活していたからね、ネコの鳴き声なんてぇものは日常茶飯のことだったから、鳴き声じたいはさぁ、聞こえてきたところでね、何の問題も無かったのですけれどね、

鳴き声があなた、近すぎる気がしたわけですよ。

ホラーめいていたわけ、ニャーの音量が。

どこで鳴いてるんだよ!

みたいなね、ことですよ。

したらまた鳴いたの、
その大音量で、
ネコが。

その時、数人着ていた友人の一人が言ったね。

「廊下で鳴いてるんじゃねぇか」と。

その時、ぼくが住んでいたのは木造モルタル二階建てのアパートでね、風呂無し、トイレ共同、みたいなところでしたよ。

アパートは、商店街に近い、わりとにぎやかな通り沿いに建ってましてね。

通りに面してむき出しにあるコンクリの階段を上がると狭い廊下にそのままつながって、突き当たりに共同トイレがありました。

二階には部屋が三つあってね、ぼくの部屋は、階段を上がってすぐのところにある角部屋だったですね。

往来から、階段を上がってすぐがオレの部屋。
確かに迷いネコが来やすい場所だったかもしれない。

ドアを開けたらね、
すぐ足元に居ました、鳴き声の主が。

ちょこんと座ってぼくを見上げてました。

そうしてそいつはなんの躊躇もなく、ぼくの足元をすり抜けて部屋の中へ入ってきたわけです。

ネコなんか飼ったことなかったからね、とりあえず何か食わすかということでね、スルメを食わしたわけですよ。
ネコはずいぶんガツガツ食ってましたが、やがて、身悶えたようにひっくり返りヒクヒクしだしたんでありますよ。

居合わせた友人たちは全員、これは病気のネコだったに違いない、そいつがこれからいよいよ死ぬのだ、だからこの部屋を死に場所に選んでドアを開けろと鳴いたに違いない、ネコの死に目に立ち会うようなそんな不吉なことには巻き込まれたくない、ということでね、どんどん帰っていくわけですよ。

残ったのは、ぼくとネコだけでね。
ぼくは痙攣するネコを見守りながら、死ぬならおめぇ、なるたけ早く楽に死ぬほうが好いよと覚悟を決めて見守っておりましたらね、そのうちケロッとして、むっくり起き上がると、普通に部屋の隅までトトトと歩くとまた戻って来て、あぐらかいて座っていたぼくの膝に乗るなり丸くなって寝始めたのでした。

そういういきさつで、そのネコは、ぼくの部屋に住み始め、ネコにスルメは好くないよという話は、それからもっとずっと後に聞きました。

そいつはね奥さん。
呼ぶと走って来るネコでしたよ。
風変わりなの。

公園で遊ばせといても、呼べば、ぼくのところへ一目散に走り寄ってくるネコでした。

実に可愛い。
あっという間に情が湧きましたね。

寝る時には、横になっているぼくの胸の上に勝手に上がって来て、そこで丸くなって寝るのでした。

すっかりやられてしまいました。

ぼくが夕方、バイトから帰って来ると、通りのどこにいたのか、
もの凄い勢いでぼくの前を疾走する影がある。

そうしてアパートの階段をそのまま駆け上がると、ぼくが階段を昇り終えるのを待ち構えるようにちょこんと座っているのです。

そうやって晩飯の催促をするの。

そんな風に暮らすうちに、そのネコの持つどっか呑気な性格とぼくは相性が合ったようで、ぼくは、そいつに「若だんな」とい名前をつけて、昼間は表で遊ばして、夕方になると何処からともなく走り寄ってきて一緒に部屋へ入り、そのまま一緒に寝起きするという、実に幸せな暮らぶりをしていたわけでありますよ。

ところがね、
ある日のことです。

いつものようにバイトから戻っても、ぼくの姿を待って勢いよく階段を駆け上がる影がなかったのです。

しばらく呼んだけど応える声がない。

結局その晩、とうとう帰って来ない。

ノラ猫を飼ったことのある人には経験あることだと思います。
あんなに仲良く暮らしていたのに、ある日を境にそのままふっつりネコが姿を現さなくなるという日がくるのです。

そういう時に限って夜に雨が降り出すのです。
本降りの雨が降る。
ざぁざぁという雨音を立てて。

何処かで濡れてるんだろうとかと、同居人は俄かに心配になる。

どうにかしてあいつの足音がしはしまいかと、耳をそばだてるけれど、そのまま何の音沙汰もなく、結局、朝になってもネコは帰らず、翌日も帰らず。

こっちもね、心配ですっかり気落ちして、あんまり、めしも喉を通らず、ため息ばかりをついている。

寝ても醒めても居なくなったネコのことばかり思い出して、
もしかすると今夜こそ帰ってくるかと遅くまで起きていたりしている。

それから三週間くらい経ったある日、友人が「若だんなを見た」と言うのです。

その町は少しばかり遠くの町でした。
そうして言うのです。

「あいつ、二階家を見上げていたよ」と。

長雨が続き帰り道が分からなくなったのかと思いました。
でも、またすぐに、こうも思いました。

うちが二階家だからといって、うちを探しているわけでもないのかもしれない。だってあいつは迷い込んで来た時、すでに首に鈴を着けていたから。
どこかで可愛がられて飼われていたネコだったはず。

その、もとの初めの飼い主の家が、二階家だったのかも知れない。

そこを何かの弾みでおん出てしまったあいつは、
爾来、その二階家を捜し求めて、いろんな二階家の住人のもとを渡り歩いているのかも知れない、と。

そう思って諦めることにしました。

辛い別れでしたよ奥さん。

二人はてっきり分かり合えていたと思っていたからね。

ぼくのもとから去って行った理由が知りたかったね。

それから一年ほどして、
また誰かが、ぼくの部屋にネコを持ち込みました。

そいつは仔猫でね。
公園に連れて行くと草や花を熱心に見つめるのでね、植物学者の牧野富太郎先生のお名前を頂戴して、「富太郎」と名づけました。

富太郎は器量良しでね、写真を撮らせて欲しいとかいう人が出たり、公園でも若い女の子に可愛がられたりしてましたね。

そいつも半野良で飼っていたんですが、
ある晩、うちのアパートの下の歩道で遅くまで遊んでいました。
首に着けていた鈴が、富太郎が走り回るたびに揺れてチリンチリン鳴っていました。

もう夏も終わり、東京は11月になっていました。

夜遊びをする陽気でもないから早く戻って来ればいいのにと部屋で書き物をしていました。
たまに窓を開けて様子を見ると、近所のスナックのおねぇさんに何やら餌をもらっている様子でした。

「ばるほど、あれだけきれいどころに熱烈なる饗応を受けているのであれば、男子としてはなかなか帰る気にもならないだろう」

と、妙に納得して窓を閉めました。

それからどれくらい時間が経ったのか。

不意に気づくと鈴の音がしなくなっているのです。

富太郎もまた、行くへ知れずになってしまったのかと思ってぼくは階段を下りて外へ出ました。

いつの間にか、スナックのおねぇさんたちの姿もなくなっていました。

ひょっとしたら、おねぇさんが連れて行ったのかなとも思いましたが、すぐそれは違うということが分かりました。

富太郎は、歩道から少し離れた車道の上にいました。

横になって、体から血の流れた跡がありました。
血の跡は夜の明かりに照らされて、アスファルトの道の上で黒い墨のように光っていました。

触ると、もう体は冷たく、死後硬直が始まっているようでした。

そのまま富太郎のそばにしゃがみ込むと、11月の木枯らしが地を這って吹いているのが分かりました。

猫たちの世界には、もう冬が近づいていたのかと、その時始めて気づきました。

富太郎の体を拾い上げようとした時、
ぼくは妙な光景を見ました。

富太郎の体から、隊列を組んで車道に降りてくる一列縦隊の小さな影があったのです。

それはノミの隊列でした。

ノミの列が、死んだ富太郎の体から、規則正しく行進をしながら車道へ降りてくるのです。

そのままノミたちは、隊列を崩すことなく、11月の木枯らしの中、次の宿を求めるように夜の闇へと消えていくのでした。

後にも先にも、そんな光景を見たのは初めてのことでした。

ぼくは、硬く冷たくなった富太郎の小さな体を抱えて立ち上がりました。

車のヘッドライトがぼくを照らすと、車道にたたずむ非常識な男に罵声を浴びせながら走り去っていきました。

なんだか、ネコのことを思い出したので、
だらだら書いてしましましたが、許しなさいよ奥さん。

じゃ、また。

解散!

















(20:47 嬉野 )

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