未成年の喫煙防止策として、成人識別装置付きたばこ自動販売機が6月から導入された大阪府内で、和泉市内のたばこ小売店が現在も識別装置の付いていない自販機を設置していることが18日、わかった。店主の男性(48)は「未成年者が買っているのを見たことがないので問題ない」と主張。すでに和泉署が、この店に撤去を要請しており、財務省も近畿財務局を通じて、近く指導に乗り出すが、現状では「強制撤去」は難しいという。
問題の自販機は、この小売店主が約5年前に日本たばこ産業(JT)から購入した自己所有機。隣接するもう1台の自販機はリース機のため、JT側の負担で識別装置が取り付けられており、ICカード「タスポ(taspo)」がないと購入できない。
小売店主は「未成年者が実際に買う現場を見たことがないので、識別装置を付ける必要はないと思った」。自己所有機の場合、識別装置の取り付け工賃など約12万円の改修費用は小売店側が支払わなければならないといい、「現実的にそんな大金を支払う余裕がない」とも主張している。
ただ、近所の人などによると6月以降、未成年とみられる若者がこの自販機でたばこを購入する姿が何度も目撃されているといい、近くの主婦(70)は「うわさを聞いて隣町からもたばこを買いに来る未成年がいるようだ」と話した。
日本たばこ協会(東京都)によると、全国の成人識別装置付きたばこ自販機は6月末時点で、全体の97%に当たる42万1103台。ただ、残り3%は、取り付けスケジュールの関係で遅れていたり、近く廃棄が決まっているものが含まれており、協会側も詳しい内訳は把握していないが、今回のような“確信犯”は極めて少ないという。
たばこ販売は免許制のため、財務省では7月1日以降、小売店が新たに自販機でたばこ販売免許を取得する際には識別装置の取り付けを義務化した。それ以前に設置された自販機については今後、全国調査を実施し、指導に従わない場合は営業停止や小売販売業の許可を取り消す方針。ただ、即座の強制撤去などは法的に難しく、全国調査の実施時期も未定で、事実上の野放し状態は当面続く可能性が高い。
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