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点滴作り置き事件について医師ブログとして言及しなければいけないと思う。
最初にこのニュースを聞いたときは、いったい何があったのか?と思ったのだが、だんだん真相が見えてきた。
点滴を作り置きして、余った点滴を翌日に回して使っていた。しかも常温で保存。土曜日に作った点滴を月曜日に使っていたという。それが真実であれば許されないことだ。
この問題に関しては、Dr.Iさまが口火を切っている。
私はこの院長を擁護しようという気は全く起こらない。
院長は「点滴の作り置きをするなと言ったが徹底できなかった」と話しているようだが、看護師が勝手にやったことだと言いたいのだろうか。知っていて黙認していたのであれば、その責任は重大である。厳しく追及するべきだと思う。
こういう事件は真面目に診療している医療機関にとって非常に迷惑である。
点滴をした患者がその後に気分が悪くなるということは実際に経験することだが、そのとき患者から「作り置きした点滴を打たれたんじゃないか?」という疑いの目で見られることは免れないであろう。
私は第3次試案に反対の表明をしているのだが、こういうケースまで免責にしろといっているわけではない。
akagama先生のところに、拙ブログにもいつもコメントをくださる鶴亀松五郎先生から紹介のイギリスでのガイドラインが載っているので、ここでも紹介したい。
英国の予期せぬ診療関連死への警察介入ガイドライン
診療中の「予期せぬ死亡」と「重大な障害」に関して警察介入のイギリス厚生省ガイドライン(2006年作成)
Guidelines for the NHS - Investigating patient safety incidents involving unexpected death or serious untoward harm
公式の医慮安全報告機関にあった医療機関からのリポートのうち、予期せぬ死亡による診療関連死あるいは予期せぬ重大な障害があった場合、(1)故意に患者に有害事象(死亡)を起こそうとした、(2)故意に患者の体に重大な障害を起こそうとした、(3)故意に安全な診療手技に従わずに無謀な治療をした、のいずれか3通りが強く疑われる場合は第三者の医療機関の代表と、公的な医療安全専門機関、警察の第三者が集まる調査チームが症例ごとに作られる。
ただし、はじめから警察が介入して証拠部件を全て押収することはない。
この場合も第三者の医療機関代表、医療安全の専門機関、警察の3者合同で症例ごとに調査委員会を開き、解剖の結果や、カルテ(医療記録)、を基に故意または悪意による診療関連死かどうかを判定していく。
その結果、故意あるいは悪意である証拠があれば、警察の介入が起きる。
故意または悪意であると疑われても、調査の結果、そうでない診療関連死と判明すれば、警察が手を引く。
イギリスでは、第三者の医療機関の臨床の専門医と公的な医療安全の専門機関、と警察が、全ての資料を共有して合同で議論して、事件性があれば警察の介入となる。
解剖も全例行われ、この結果もチーム内で共有される。
つまり、医療従事者側にも、患者側にも公平で公正な方法を取っている。
WHOの医療安全の部局も、イギリスのやり方が良いと認識している(その後の、WHOの医療安全フォーラムでモデルのシステムとして紹介されている)。
日本の異常点を指摘すると。
日本の場合は、(1)はじめから警察が介入し、証拠物件を全て押収し、(2)警察(検察)の知り合いの医者にだけ意見を聞き、(3)検察独自で臨床の現場からかけ離れた診断基準で診療関連死が刑罰相当かを決める。
結論:
日本のようなやり方は、イギリスでも欧米でも間違った方式とされており、日本のような方式は先進国では異常である。
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院長が「作り置き」を黙認していたのであれば、(3)故意に安全な診療手技に従わずに無謀な治療をした
に相当するのだろう。そうであれば警察が介入するべきである。
この事件では点滴作り置き以外にも、なぜメチコバールとノイロトロピンの入った点滴を1日百人もの患者に?
という疑問が浮かぶ。(報道が真実であれば)
Dr.Iさまがご指摘のように、薄利多売で、たくさん点滴をしないと利益がでないような診療報酬にも問題があるのかも知れない。それにしてもこの院長に私は同情できない。
また、点滴が大好きな患者さんがいるのも事実である。
恵比寿ガーデンプレイスには、↓こんな点滴専門店があるらしい。ぶったまげてしまう。
日々真面目に医療を行っている者にとっては、腹立たしい限りである。
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コメント
コメント一覧
患者側の立場として考えさせられました。もちろん、今回の事故は、病院側の責任が大きいと思いますが、背景として、『点滴を打ってもらったほうが早く治る』みたいな、これも『患者アタマ』として問題があるような気がします。
この『患者アタマ』の成り立ちを考えると、点滴は直接、静脈に注射して薬剤を入れますから、恐らく内服薬よりも早く効き出すのではないでしょうか。(比べたことがないのでわかりませんが)
確かに『効き目が早い』のは事実なのかもしれません。だからといって『よく効く』というのは、あくまで、患者さんの『感覚』とか『印象』であって、実際良く効いているかどうかはわかりません。
恐らく、『早く効くだけで効き目は内服薬と同じ』が、事実ではないかと思うのですが・・・??
もちろん、下痢や嘔吐で脱水症状などの急性の症状には、早い効き目が要求されるので、点滴を使うほうが望ましいと思いますけど。
azuki
~azukiさん、コメントありがとうございます。
点滴が必要な状態というのは、azukiさんがご指摘のように下痢や嘔吐、その他の原因で脱水状態のとき、または、内服薬では治療効果が期待できないとき、内服に相当する薬剤がないときなどで、通院患者で点滴が必要なケースというのは限られます。ただ、点滴が大好きな患者さんがいるのも確かです。そういう方の中には医師が点滴は必要ないと説明すると気分を害し、あの先生は点滴もしてくれないなんて、ヤブだとか、ケチだとか言いふらす人もいるので困るのです。点滴をしてもらうと、患者さんも「治療をしてもらった」という満足感が得られるのでしょうね。こういう点滴をしまくる医院が評判が高いというのは、そういうことなのかと思います。
春野ことり
なかなか、この事件も、数々の社会問題をはらんでいますね。
点滴大好きな患者さん。
感染予防のガイドラインがアップデートされていない、診療所。
評判の良かった先生なのになぜ?というワケワカラン記事をのせるマスゴミ。
突込みどころが一杯です。
akagama
~akagama師匠、コメントありがとうございます。
本当に突っ込みどころがいっぱいの事件だと思います。
春野ことり
不勉強なもので”当たり前じゃん”と言われればスイマセンが、気になったもので。
細菌を生食に注入してどのくらい繁殖できるものなのでしょうか?
しかも密封された状態で(完全密封と言わないかもしれませんが、ゴムキャップによる密封が保たれている状態)繁殖しつづけられるのでしょうか?
清潔操作(いわゆる無菌操作で)細菌注入した分を作り置きして、汚染し続けることは可能なのでしょうか?
細菌を短時間限定的に静脈注射して、致死的になるのはどのくらいの量なのでしょうか?
かばう気持ちは毛頭ありませんが、個人的科学的興味としてです。
ハッスル
~ハッスル先生、鋭いご指摘ありがとうございます。
清潔操作で行っても、完全に無菌ということは不可能だと思います。報道によると、この医院の場合は手洗い後のタオルを使いまわししていたそうなので、清潔操作ができていなかったということでしょう。
実際に何時間常温に放置したらどのくらい細菌が増えて、致死量はどれだけかということはわかりませんが、常識的に、翌日まで常温で放置した作り置きの点滴を投与するということは考えられません。
2002年にセラチア菌による院内感染で7人死亡する事件がありました。これは、ヘパリンロック用の作り置きのヘパリン生食が感染源でした。生食500mlのボトルにヘパリンを入れて常温で3-4日使っていました。http://www.naoru.com/seratia.htm
http://idsc.nih.go.jp/training/14kanri/tachibana2.htm
この世田谷保健所の報告の中には、
「ヘパリン生食液内におけるセラチア増殖試験→ 温度条件が最適なら緩やかに菌は増殖した」とあります。
春野ことり
看護師や患者の問題もありますよ。
でも、そういう理由があるから、って言ってこの医者がやった事が正当化される、って訳ではないので。
医師の中で、悪い事は悪い。
って、はっきり言う必要はあると思います。
でも、マスコミには、単なる医師叩きで終わらせないで、もっと本質的な事もしっかり報道してもらいたいです。
Dr.I
~Dr.I 先生、コメントありがとうございます。
>医師の中で、悪い事は悪い。
>って、はっきり言う必要はあると思います。
同感です。私も、先生のブログを読んで、自分のブログでも取り上げなくては、と思ったのです。マスコミやトンデモ裁判ばかり批判していて、医者のやったことをスルーしていては、やはりダメだと。
春野ことり
学会がなければ、このネタもエントリーしたのに。
ことり先生をはじめ他の先生方に先を越されました。
よっしい
~よっしい先生、同意いただきありがとうございます。
学会お疲れ様でした^^。
まだ遅くないと思いますので、先生なりのエントリーもぜひ立ててください。
春野ことり
今回の件に関して新聞やテレビの報道だけでは、実際に医療現場で働く人が知りたい疑問はなかなかわからないものです。Dr.I先生のように医療の経済面からの解説は、知りたかったことのひとつです。そして今回の警察の介入に関しては、点滴で死亡者が出たことでの驚きのほうが強くて、警察が介入していることが是か非かまで、正直思いつきませんでした。ことり先生のブログを読んで、目が覚めた想いです。
安全面に関して言えば、点滴準備の際に十分な手洗いと紙タオル使用をしていなかったことと同時に、おそらく薬液を吸うために使用した注射器も「もったいない」と1本で何度も吸引操作をしていたのではないかと思います。一回吸引をすることで注射器内筒は滅菌状態ではなくなるということは滅菌操作の初歩的な知識ですが、ディスポの注射器の節約、医療廃棄ごみの減少などから、つい・・・ということは多いと思います。
また、感染委員会がないと格下げされたり第三者機関の認定をうけるような病院では、最新の感染予防に対する情報にもすぐに対応しますが、やはり開業医になると看護職に情報が回ってくることはまずありません。「故意に安全な診療手技に従わず無謀な」ことをしていたつもりだけではなく、家庭の衛生の延長のような感覚の看護スタッフも多いのではないかと思います。「昔からこれでやっていた」とか、「使い捨てはもったいない」とか。 私自身も開業医で働き始めて、驚いたことが多いです。波風立てないようにしながら、きちんと改善していくことは大変でした。
こうした感染や薬品、その他安全面に対する情報と最新の対応策を、全国どの小さな医院までもすぐに伝達するような統一された機関があるとよいと思います。また、改善に伴うコストは医療機関の持ち出しが少なくなるように配慮されると、さらに安全は高まるのではないかと思います。
いつもブログを読みながら、医療全体について視野を広げる機会になっています。ありがとうございます。
それにしても「とーちゃん医療ミス?」は、悲しかったですね・・・。
開業医院では最新の感染対策の情報が回ってこない、とても問題だと思いますが、実際そうなのでしょうね。
>「昔からこれでやっていた」とか、「使い捨てはもったいない」
これはすごくよくわかります。ディスポも使いまわしていたと思われますし、清潔という概念が開業医に長年務める看護師の間ではおろそかになるのも頷けます。だからこそ、責任者である院長は職員をしっかり管理・教育をしないといけないだと思います。
>改善に伴うコストは医療機関の持ち出しが少なくなるように配慮されると、さらに安全は高まるのではないかと思います。
全くその通りだと思います。使い捨てはコストがかかります。朝のニュースで点滴を作るときはマスクと清潔手袋の着用が必要なのに、この医院では素手で点滴を作っていたと報道されていました。私は手が清潔にされていれば素手で点滴を作ることに問題はないと思うのですが。点滴を作るたびに清潔手袋をおろしていては、コストがかかって大変です。医療機関の持ち出しが多くなればそれだけ安全もおろそかになるというのは、ご指摘の通りです。その辺りにも問題はありますね。
春野ことり
川柳できました。
「どうせなら、死亡診断、作り置き」
「死ぬことを、知って尚かつ、なぜ治療」
サイシュウヘイケ
~サイシュウヘイケさん、こんにちは。
あの・・コメント拒否したわけではございませんので、あしからずご了承ください。掲載が遅くなってすみません。
マジレスすると、死ぬことをわかっていて治療する場合に、延命だけでなく緩和ケアという治療もあって、末期癌などの患者さんの苦痛を取り除く治療です。
春野ことり
この事例は、medication err(薬品投与のエラー)に相当します。
医療エラーのうち、薬品投与のエラーは25%以上を占めるそうです(イギリスNHSの患者安全局の調べ)。
医薬品エラーを起こさないようにするためのガイドラインや実際のエラーのリポートが患者安全局に掲載されています。
#Medication Zone(Natinal Patient Safety Agency)
http://www.npsa.nhs.uk/patientsafety/medication-zone/
欧米でも患者安全のための部局が設立されて、インターネットを通じてエラーの情報から現場の医療職が学び取るシステムができたのは、ここ10年以内のことです。
それまでは、あることはあったが、情報の共有と言う点で上手く機能しなかった。
ことり先生がお示しになったように、セラチアによる感染は以前もありましたが、教訓にはなりませんでした。
英国でも、NHS内の病院の医療職には情報が届いても、一般の開業医(GP)レベルまでは届かないことが問題となって、医療安全局の設立と同時に開業医もネットを通じて情報を共有できるようになりました。
今回、事件となった開業医の先生も、セラチア感染のことを含めた医薬品エラーの情報をきちんと得ていなかった可能性がりますね。
知っていれば、今回のエラーは避けられたかもしれません。
なるほど。欧米では医薬品エラーの場合も故意でなければ刑事事件化されることはないのですね。当然といえば当然です。なんでもかんでも刑事事件化する日本はおかしいですね。
この事件の場合も故意であったかどうかが問題となるわけですが、故意ではなく、単に院長が感染防止に関して無知だったということなら刑事事件にするべきではないのでしょう。
2002年のセラチア菌による院内感染で7人死亡した事件後、病院にはヘパリン生食の作り置きをやめるように指導が入ったと思うのですが(他の点滴の作り置きも同様)、開業医までは行き渡っていなかったのでしょう。そもそも、開業医ではヘパロックしませんので、そういった情報が行き渡らないのも仕方がないのかも知れません。2002年の事件では病院長と看護師長が書類送検され、刑事責任を問われたそうですが、http://www.medsafe.net/contents/hot/44baxter.html
刑事事件化しても教訓として生かされないことがよくわかりました。
生き字引というより、私、医療安全システムの問題には大変関心を持っており、必要な資料はネットを通じて調べました。切っ掛けは、皆様と同じ大野病院事件。厚労省の医療安全委員会に議論が拍車をかけました。
闇雲に調べたわけでなく、WHOや欧州連合やアメリカの医療安全部局のホームページから、リンク先を通じて、さまざまな資料を得ることができました。まだ全てに目を通しているわけではありません。
資料は全て英語なのですが、医者なら普通に読解できるレベルです(書いてるほうも、医者を対象に考えているでしょうから)。
イギリス保健省が2005年に医師、歯科医師の医療エラー。医療過誤に対してのガイドラインを発表しています。
(具体的な内容は、お時間が有るときに、お読みになってください)
MAINTAINING HIGH PROFESSIONAL STANDARDS IN THE
MODERN NHS
http://www.dh.gov.uk/en/Publicationsandstatistics/Publications/PublicationsPolicyAndGuidance/DH_4103586
基本原理があって、
tackling the blame culture - recognising that most failures in standards
of care are caused by systems' weaknesses not individuals per se;
abandoning the "suspension culture" - by introducing the new
arrangements for handling exclusion from work set out in part II of this
framework.
という具合に、刑罰を課す、医療資格を取り上げる、停止する、という従来の方式からの脱却です。
いつか要点をまとめて、またコメントにお書きしようと思います。
本当は、厚生省も世界の標準となるこのガイドラインをきちんと読んで、学び取ってほしいんです。
ご紹介いただいたガイドライン、読ませていただきます。
システムエラーを個人の責任になすりつける日本は、世界の標準からみて、かなり遅れていることがわかります。
厚生省もこのガイドラインを読んで世界基準を学んで欲しいものです。
たぬくまぞうさん
~たぬくまぞうさん、コメントありがとうございます。
お母様のように「点滴をすると楽になる」という患者さん、確かに多いんです。開業医にとってはある意味ありがたい患者さんだと思います。大きい病院では患者の希望による点滴はしてもらえないでしょう。
点滴の値段については、Dr.Iのブログに詳しく書いてあります。http://kenkoubyoukinashi.blog36.fc2.com/blog-entry-329.html
点滴をすると手技料 1回470円(点滴の量によって違いますが)算定できます。これはたいした利益ではないです。ただ、内服薬だけだとたとえば2週間処方だと月2回しか再診療が取れないのに、点滴に毎日通う患者さんがいれば、再診料は月20回取れますね。再診の回数が増えることが利益に結びつくのだと思います。
春野ことり
コストのことはありますが,こういったものできちんと消毒していれば問題は生じなかったはずです.清潔不潔の区別は医療の基本ですが,それを怠ったところにこの病院の手落ちがあります.まあ,丸1日も常温で点滴を放置したところも問題ではありますが,菌がコンタミしていなければ腐るようなものではないはずです.
ただ,「消毒の基本を忠実に守らなかった」という問題に対し警察が介入するのはやはり日本だけの異常でしょうね.
level3
~level3先生、コメントありがとうございます。
先生のコメントに全面的に同意します。
この医院に落ち度があった事は事実なので、何らかの処罰は必要と思います。こういう事件のせいで、「だから医者は信用できないんだ、刑事免責なんてとんでもない」という意見が出てくるのが一番困ります。
春野ことり
現代人はゆっくり痛みが和らぐまで養生する時間が許されない状況にあります。バブルの時代もデフレの時代も。また高齢者は突然の関節痛などに襲われたとき、一気に血圧が上昇し、何らかのトラブルを抱えることがまれではありません。よくあるケースとして高血圧性緊急症や狭心症の悪化そして不整脈の増悪など・・・。また専門外の疾患ですが潰瘍の悪化など。このことは医師の側も患者さまの側も経験的に知っているわけです・・・。勿論全ての点滴を肯定するわけではありませんが、やはり迅速な除痛が求められるケースはあります。ただし今回の事件はやはり是認されないとは思います。
kampapa
~kampapaさん、こんにちは。
仰り通りで、迅速な除痛が必要なケースもあります。しかし、整形外科的な痛みを早く取り除く方法としては点滴よりも神経ブロックの方がよいのではないかとも思います。専門外のことにあまり口出しはできませんが。
内科的によく見かけるのは「早く風邪を治したいから点滴か注射をして欲しい」という患者さん。点滴や注射をしても風邪が早く治るわけではありませんと説明しても納得しない人がいます。こういう場合、患者さんの言うことを聞いて点滴をするのもトラブルを避けるためには仕方がないことと思います。
しかし今回の事件は、やりすぎという感は否めません。
春野ことり
アメリカ合衆国・連邦保健局(厚生省相当)のAgency for
healthcare Research and Quality局のホームページには医療エラー(日本では医療ミスと言われていますが、国際的には、医療エラーmedical errorと言います。故意あるいはずさんな処置によるものはmedical misconduct、故意ではないが注意すればさけられた、あるいは故意ではない判断の間違いはmedical malpractice)について、どういう状況が医療エラーで、どうしたら避けられるかの情報が多数掲載されています。
Advances in Patient Safety: From Research to Implementation
http://www.ahrq.gov/qual/advances/
どの国でも、忙しい臨床医が全部に目を通すことは不可能だと思いますが、自分に関係した分野の情報を得て医療エラーを避ける、エラーが起きた場合の対処の仕方の知識を得られます。
欧米の医療安全局のページにはこういう情報が満載ですが、日本の厚生省のページには全然ありません。
まずは、日本もこういう点から始めないと駄目だと思います。
欧米各国とも刑罰を課す文化から脱却することで、どうしたら患者の安全が得られるかを、きちんと認識しているからです。
先日、コメントしたイギリス保健省のガイドラインは、医師・歯科医師の医療エラーが起きた場合の対処の仕方が詳しく述べられていました。専門家による冷静で公平な判断と、医師・歯科医師の言い分も充分に聞く、という点で参考になりました。
MAINTAINING HIGH PROFESSIONAL STANDARDS IN THE
MODERN NHS
http://www.dh.gov.uk/en/Publicationsandstatistics/Publications/PublicationsPolicyAndGuidance/DH_4103586
鶴亀松五郎
~鶴亀松五郎先生、度重ねて有益な情報をありがとうございます。
時間のあるときに必ず読むようにいたします。他の読者のみなさんもぜひ。
春野ことり
(あ、もちろん、ことり先生の記事も..)
私は、最初、つい「こんな医者、逮捕や!」と思ってしまったんですが、
やはり、医療事故については、きちんと調査委員会が調査すること、
そして、早くから警察、検察が動きすぎないこと
(彼らが動くと、証拠がなくなってしまいますから)
(そして、彼らが動くと、真実ではなく、立件できる問題だけに焦点を当てて裁判が進んでしまいますから)
そんな時代が来てくれるといいんですけどねえ..
Doctor Takechan
~Doctor Takechan、コメントありがとうございます。
私の記事はたいしたことございませんが、鶴亀先生の情報は凄いです。
私も、最初、こんな医者は逮捕されても仕方がないだろうと思いました。
しかし、どんな場合でも、警察が捜査に入る前に事故調査委員会がきちんと調査をする必要がありますね。
医師が納得できるような第4次試案が出てくることを期待します。
春野ことり
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