最新記事一覧
滞納者に全額支払い/厚木市立病院少額訴訟で簡裁判決
- 社会
- 2008/07/17
厚木市立病院で治療費を滞納したとして、同市が愛川町在住の三十歳代の女性を相手取り、十九万九千円の支払いを求めた「少額訴訟」の判決で、厚木簡裁は十七日、女性に全額支払いを命じた。治療費未払いの患者を提訴し、判決が出たのは県内の公立病院で初めて。同市では提訴後、滞納者の振り込みが増え、逃げ得を許さないため少額訴訟に踏み切った効果も出ているという。県や横浜市などは支払督促を実施しており、悪質な治療費滞納者に対する法的手段の検討が県内自治体で広がっている。
判決で山田四十六裁判官は、被告の女性と代理人が裁判に出席しなかったことに触れ「(市側の主張を)すべて認めたものとみなす」と述べた。市などによると、女性は二〇〇六年三月に市立病院で出産。市職員が自宅を訪問して十分な支払い能力があることを確認し、文書と電話で計六度支払いを求めたが対応しなかったという。
神奈川新聞社が県内公立病院を対象に行った調査では、患者が一年以上支払っていない治療費未収金総額は約十四億円(〇七年三月末)で、一病院あたりの平均未収金額は約六千万円。患者負担の引き上げや所得格差の拡大を背景に、低所得者が治療費を支払えなくなったことが主因。しかし支払い能力があるのに滞納する患者も増えているという。
増加する未収金が病院経営を圧迫しかねないとして、公立病院を運営する県と十市が支払督促と少額訴訟の二つの法的手段を検討している。県と横浜、小田原、厚木三市はすでに悪質滞納者に対して支払督促を実施。厚木市は「分割払いの方法を話し合いで定めることができる」として少額訴訟にも踏み切った。茅ケ崎市も本年度中にいずれかの法的手段を講じる方針だ。
厚木市は悪質滞納者の提訴を決めた五月から、法的措置を警告する書類の配布を開始。毎月十件程度だった滞納者からの振り込みが六月は二十一件に倍増した。
厚木市医事課は「提訴を通じて市の意志を滞納者に伝えることができた。生活困窮者に医療サービスを提供するのも市民病院の役割。悪質なケースとの見極めは慎重にしなくてはいけない」とコメント。法的手段を実施する際、悪質滞納者と生活困窮者の見極めが難しく課題という。
このエントリーへのトラックバックURL:この記事はトラックバックを許可していません。
投稿したコメントの修正、削除をしたい場合は、こちらからお願いします。