全国知事会(会長・麻生渡福岡県知事)は18日、横浜市で開いた全国知事会議で消費税率の引き上げを求める提言をまとめ発表した。政府の地方交付税の削減と社会保障費の増大から、11年度には地方公共団体の財政が破綻(はたん)状態に陥るとして、現在5%の消費税の1%に相当する地方消費税の充実が避けられないと主張している。
総選挙を前にした政府、与党が消費税論議にふたをする中、地方から本音で国民に訴え、負担増への理解を求める狙い。消費税を引き上げる時期と幅については、景気の状況や国・地方を通じた消費税を含む抜本的な税制改革の中で決めるべきだとしている。
特別委員会(委員長・石川嘉延静岡県知事)の試算では、都道府県と市町村を合わせた地方公共団体の財源不足は、11年度には7兆8千億円から8兆3千億円に達する。
提言は、住民サービスの水準維持のためには歳入増が必要とし、国民全体で負担して税源の偏りが小さく、税収が安定的な地方消費税を引き上げるべきだとしている。不足分を現行の地方消費税に換算すると3%程度になる。
会議の中で古川康佐賀県知事は「消費税引き上げがやむを得ないということを、われわれが国民に訴えていかなければならない」と主張した。
会議後の記者会見で麻生会長は「各知事と地方6団体で協力して地域の皆さんに現状を訴え、理解を求めていく」と話した。(岡田和彦)