ギョーザ事件やチベット問題、四川大地震と続いた影響で、北京五輪観戦ツアーの売れ行きが伸び悩んでいる。日本の旅行会社への割り当ては約7万枚。今月になって、最大10万円の値引きに踏み切った旅行会社も登場した。
チケットは、日本オリンピック委員会(JOC)指定の8旅行会社が販売する。JOCは当初、14万枚を北京五輪組織委員会に要望していたものの結果は半分。人気種目の割り当てが少なかったことも旅行会社の悩みとなった。
今月1日になってツアー代金を値引きしたのは、今回初めて五輪の公式旅行会社となったANAセールス(東京)。女子バレーボール観戦の3日間のツアーの値段を29万8千円から19万8千円に下げた。卓球やバドミントンの観戦ツアーも値下げした。
日本の選手やチームを見られるかは分からない日程のチケットとはいえ、いずれも日本では人気の種目だ。6月下旬に売り出したが「申し込みが全くなかった」と同社担当者。地震など不安要素が相次いだ影響とみている。
「数年前に公式旅行会社に手を挙げたときには中国市場は五輪や上海万博で明るいと思っていた。こんなに冷えこむとは予想外だった」
観戦ツアー全体で売れたのは目標2千人分の約6割。売れていないチケットは「競技場を空席にするより良い」として、北京滞在フリープランに付けるなどしている。
近畿日本ツーリスト(東京)は、一部のネット販売を除き、パッケージツアーの募集を締め切った。法人向けの営業は続けているが、目標6千人分に対し、売れたのは約4千人分。ここ1カ月は、契約と解約で相殺されて、ほぼ横ばいだった。「アテネより近く、仮に地震やチベット問題などがなければもっと申し込みがあっただろう」
希望と割り当てとのミスマッチもあった。同社は、開会式を組み入れたツアーを企画したものの、入手できたのは約20人分で、発売直後に売り切れたという。(有吉由香)