【北京15日椛島滋】日中両政府は15日、双方の国内人権状況などについて話し合う外務省審議官級の第4回「日中人権対話」を北京で開催した。6月上旬に北京五輪組織委員会がハンセン病患者の入国を拒否する出入国指針を示したことを受け、日本側は同指針も含め、入国条件見直しを要請したが、中国側は「ハンセン病患者の入国拒否は、中国国民と外国人の健康と安全を守るためで、多くの国の慣例だ」と主張、入国条件見直しに否定的な考えを示した。
日本側は外務省の秋元義孝総合外交政策局審議官が出席。ハンセン病問題では「日本では高い関心が示されている。通常生活では感染しないものであり、前向きな対応をしてほしい」と、中国国内法そのものを見直すよう求めた。
中国外務省の劉建超報道局長は同日、ハンセン病患者の入国拒否に対する批判について「ハンセン病回復者は、家族も含め中国入国の制限はない」と、ハンセン病患者と回復者への対応の違いを強調。「中国は基本的にはハンセン病への差別撤廃を支持しており、今後も引き続き関連措置を検討する」と述べた。
ハンセン病の発症力は極めて弱く、らい予防法が廃止された1996年以降、日本政府は患者の入国を認めている。国連人権理事会も先月18日、中国も共同提案国となり、ハンセン病差別撤廃決議を全会一致で採択していた。
対話では、北朝鮮による日本人拉致問題やチベット情勢でも意見を交換。拉致問題で中国側は「(日朝の)2国間の問題だが、可能な協力を行っていきたい」と述べた。
日中人権対話は、日中関係の改善を受け、約8年半ぶりに再開された。
=2008/07/16付 西日本新聞朝刊=