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【こうして生まれたヒット商品の舞台裏】お風呂嫌いの子供のために

2008.7.18 08:00
「じゃぶじゃぶ紙芝居」を開発、発売した真下彪社長=東京都中央区新川「じゃぶじゃぶ紙芝居」を開発、発売した真下彪社長=東京都中央区新川

 ■フロンティアニセン「じゃぶじゃぶ紙芝居」

 「お風呂嫌いの子供たちが、ゆっくりと湯船につかる習慣がつけばいい」。こんな思いで開発に取り組んだのが、お風呂で読める紙芝居「じゃぶじゃぶ紙芝居」(500円、枠付き800円)だ。

 素材は紙ではなく、ポリ塩化ビニール製シート。ぬれた手で触っても、湯船に落としても大丈夫。一昨年の発売以来、右肩上がりで売上額が伸び続け、間もなく子供たちに人気のアンパンマンも発売予定だ。

 手がける社長の真下彪(ましもかける)さん(68)は、もともと印刷会社の経営者。1980年代のテレホンカード全盛時代にプラスチック製シート印刷を始めた。その後、携帯電話の普及とテレホンカードの需要低下などを受け、平成13(2001)年に「ぬれても大丈夫な文庫本を」と「お風呂で読める文庫本」シリーズを出版した。

 「じゃぶじゃぶ紙芝居」はそこから生まれたアイデア商品。「複数の物語が入った文庫ではなく、一編一編の方が読みやすい」という意見を、取引先である東急ハンズの担当者から聞き、2年前に開発をスタートさせ、サイトでイラストレーター13人を募集し、編集部隊を立ち上げた。

 紙芝居に選んだ物語は、「ももたろう」や「おむすびころりん」などの昔話や、太宰治の『走れメロス』、宮沢賢治の『セロひきのゴーシュ』といった小説をはじめ100編。すべて各9枚にまとめ、長湯になり過ぎないように工夫した。

 現在は、耐水性と耐久性に優れた商品の特性を生かし、風水害の被害を受けやすい発展途上国に教科書や絵本、紙芝居を普及させたいと、各国の大使館や外務省、企業などを訪問している。支えは「戦争、貧困、医療、環境、エネルギーの五大問題を解決できるのは、教育だけ」という信念。

 「私が幼いころ、兄弟姉妹、いとこで1冊の教科書を代々使っていました。塩ビ製品は半永久的に劣化せずに使える優れた製品。紙の本がなかなか手に入らない地域の教育に役立てることができたら」

 次なる構想を熱っぽく語った。(村島有紀)

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