平成19年3月25日、震度6強を記録した能登半島地震が発生し、死者1名、けが人約300名、全壊家屋約600棟という大きな被害をもたらしました。

  県警では、被災地にたくさんの警察官を派遣し、災害警備活動に従事しました。私も、女性警察官で編成された「被災者支援隊」の一員として被災地へ赴き、被災された方のお手伝いや地域のパトロールを行ってきました。

  私は、地震発生から3日後の3月28日に初めて被災地へ出動したのですが、被災地へ入りマイクロバスの中から全壊した家や、傾いている家などが並ぶ光景を見て、私の想像をはるかに超えていることに衝撃を受けました。

  「私に一体何ができるのだろうか。被災された方の力になれるのだろうか。」と不安な気持ちで避難所の掃除や食事の準備のお手伝いをしていると、避難されている方たちが私たちを気遣って、「ご苦労さん。」「ありがとう。」と笑顔で声を掛けてくれたのです。被災され心細くなっているはずなのに、私たちを気遣ってくれる優しさに勇気づけられました。本当は私が皆さんを元気づけなければならないのに…。

 それから出動の回数を重ねるごとに、避難所の方たちに名前を覚えてもらい、仲良くなりました。避難生活が長く続き、不安がふくらんできているはずなのに、皆さんはいつも笑顔で、しかも口から出る言葉は愚痴ではなく、「警察官がパトロールしてくれるので安心だ。」「避難所には近所の人がたくさんいるので心配はない。」「避難所においてもらえてありがたい。」など感謝の言葉でした。能登の方たちの絆の強さと心の大きさを目の当たりにし、この強さがあれば、復興に向け、この震災を乗り越えられると確信しました。

  この出動で、相手を思いやること、そして互いに支え合うことの大切さを、能登の皆さんから学びました。

 皆さんのこと、皆さんの笑顔は一生忘れません。

 一日も早い復興を祈っています。