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【主張】教員不正採用 再試験辞さず信頼回復を
大分県の教員採用汚職事件で、県教育委員会が不正合格した教員の採用取り消しを決めた。合格点だったのに点数改竄(かいざん)で不合格になった受験者も救済する。
不正をただすのは当然の措置で、この方針を早急に実施すべきだ。
不正合格者は平成18、19の両年だけでも合格者の半数の約40人にのぼる疑いがでている。
不正採用は、両年だけでなく慣習化していた可能性も強い。
一方で、既に答案用紙が廃棄されており不正採用の確認が難しい。県教委は具体的調査方法や時期となると「いつというメドはない」などとあいまいだ。
調査をいたずらに長引かせてはならない。「あの先生は裏口採用ではないか」と、保護者や子供たちから不信が募るばかりだ。
県警の捜査では、逮捕された県教委参事のパソコンのデータ解析などから、点数の水増しのほか、成績上位者が減点されて不合格になったケースが相次いで判明しているという。
逆に低い点数を大幅に改竄し、不正に採用された者が教壇に立っている。県警の協力も得て、厳正に対処しなければならない。
不正採用の確認が難しくとも疑惑がもたれる教員には再試験も辞さないなどの対策を検討すべきだろう。
そうした採用者の解雇にあたっては急に担任がいなくなるなど混乱が懸念される。子供たちへの精神的ケアなどを含め、教育現場の混乱を避ける対策にも知恵を絞ってほしい。
事件は県教委ナンバー2の現職の教育審議監の自宅が家宅捜索を受ける事態となっている。
不正採用を続けたり、見過ごしたりしてきた歴代の県教委幹部らの責任が重いことはいうまでもない。事実関係を明らかにするなど、メスを入れねばなるまい。
不正採用の背景は、他の教育委員会にも共通する問題である。
「1次試験を通ればコネがきく」などのうわさが絶えないのは、採用試験の選考基準があいまいなことが一因だ。
多面的な評価を工夫し、選考法を積極的に公表するなど採用の透明化に取り組む教委もある。
学力低下や少年非行など学校をめぐる課題は山積している。社会の変化に対応できる教員が求められているのに、採用方法が旧態依然では信頼回復にはほど遠い。