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近畿大:石炭の代替材「バイオコークス」の実用化にめど

茶殻(手前)から作ったバイオコークスを持つ井田民男・近大助教授
茶殻(手前)から作ったバイオコークスを持つ井田民男・近大助教授

 近畿大学(東大阪市)は16日、茶殻など植物性のごみから固形燃料「バイオコークス」を作り、実際の工場の鉄溶解炉で燃やす実験に成功したと発表した。使う石炭コークスの約11%をバイオコークスで代替でき、実用化のめどが立った。植物を燃やして出る二酸化炭素(CO2)は、もともと植物が成長の過程で空気中から取り込んだもので、温室効果ガスの排出にカウントされない。代替が進めば鉄鋼分野での温暖化対策にも役立ちそうだ。

 バイオコークスは近大理工学部の井田民男准教授(エネルギー工学)が開発した。茶殻やコーヒーかす、おがくず、野菜など植物由来の廃棄物を、180度に加熱し、200気圧で圧縮、成型して作る。重量あたりの発熱量は石炭コークスの約8割だ。

 今回は飲料製造会社のコカコーラ・ウエストプロダクツ(佐賀県鳥栖市)が原料の茶殻を提供。近大が北海道の実験センターでバイオコークスを作った。4月から7月初めまで、豊田自動織機東知多工場(愛知県半田市)の自動車部品製造用の炉で石炭コークスとともに燃やした。反応が早いため、従来より鉄を速く溶かせ、部品を順調に作れた。

 今後、大量生産技術を確立し、09年に1日約10トン、13年に年約10万トンの生産を目指す。10万トンが実現すれば、理論上はCO2の排出を年間20万トン以上削減できるという。【渋江千春】

毎日新聞 2008年7月16日 21時54分(最終更新 7月16日 21時57分)

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