考えさせられる調査結果がある。内閣府が二月に公表した「科学技術と社会に関する世論調査」で、科学技術の話題に関心がある人が六割と過去最高に達したことだ。
理科離れが指摘され、科学と聞いただけで難しくて頭が痛くなる人が多いと思っていたのに、関心があるが前回二〇〇四年調査から8・4ポイントも増えた。なぜか。調査から、地球環境への不安が背景になっていることが分かる。
機会があれば科学者や技術者に聞いてみたい分野を質問したところ「地球環境問題」が最も多かった。また、環境など新たな問題は「科学技術の発展によって解決される」とみる人が62・1%と前回調査の倍近かった。
先の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)では、「環境、クリーン・エネルギーに関する技術の研究開発への投資の増大」が合意された。温室効果ガス排出の大幅削減につながる革新的技術開発の重要性に各国の理解が深まった。
だが、新しい技術には副作用があるなど、影がつきまとう。内閣府の世論調査でも、科学技術の発展に伴う不安として「悪用されたり、あやまって使われたりする危険性が増える」と思う人が77・1%もいた。
温暖化防止に魔法のつえはない。科学技術頼みでなく、一人ひとりの省エネ実践こそが大切だと心すべきだろう。