学者のたまごでした
北海道の大学研究機関で研究者を目指す学生のブログです(開設時)。日々の所感、野外調査での写真等々を紹介します。 2006年12月までアラスカ大フェアバンクス校へ交換留学していました。 2008年3月,博士の学位(Ph.D)を頂きました。今後一年間はポスドク,その後は未定です。
2008年07月16日
ムペンバ効果,追記ムベンバ効果じゃなくて,ムペンパ効果じゃなくて,ムベンパ効果でもなくて,ムペンバ効果。
(Mpemba Effect)。
先日,以下の記事に書いたところ,
#ためしてガッテンのムペンバ効果
多くの反応を頂いている。
水の物性を専門としているわけではないが,注目頂いた分,雪氷学に携わっている者としての私の見方を紹介しておきたい。
まず先日予告していた,専門家の見方。
メールの転載について許可を得たので以下に転載。
北海道大学名誉教授で,サイエンスアイの前野紀一さんがためしてガッテン放送前に雪氷学会の会員向けにメーリングリストに投稿したものだ。
#前野紀一さんが一般向けに氷のことをかいた「氷の科学」は名著です。
前野さんを知らない方向けにご紹介。
氷の科学: 本: 前野 紀一
http://b.hatena.ne.jp/entry/3226998
----------
雪氷学会会員の皆さま
北大名誉教授の前野です。重複して受信の方はご容赦ください。
7月9日(水)20:00-20:45 放映のNHKためしてガッテンで「ムペンバ
効果(Mpemba Effect)」が紹介されます。無駄な誤解が生じないよう
予め雪氷学会の皆さんに経緯をお知らせしておきます。
Mpemba Effectとは、お湯と水をそれぞれ同じ容器にいれて低温のもと
に放置したときお湯の方が早く凍ることがある、という現象です。こ
の現象は西洋では2000年も前から知られていましたが1960年代にムペ
ンバというタンザニアの高校生が「再発見」するまであまり話題にな
りませんでした。私はその頃カナダの大学にいましたからそれを知っ
ていましたが、自分自身はその詳細を調べることはまったくせず、ま
た日本の雪氷や物理の学界にも紹介することを怠り今日に至りました。
ところが今回NHKからこの現象を「ためしてガッテン」で扱いたいと相
談されました。私は初めは反対していたのですが、面白い現象なので、
メカニズムについてはまだ信頼すべき精密な測定が行われれていないと
説明する、という条件で放映に同調することにしました。
これまでMpemba Effectを調査したという報告は数え切れないほど多数
発表されています。しかし、残念ながらどれもこれも厳密さと論理に
おいて不満足なものばかりで、素人研究の域をでていません。その理由
ははっきりしています。この現象には多数の物理因子が関係しているた
め、科学的に満足な調査をするためには相当周到な研究が必要だからで
す。温度や容器だけをパラメーターにする素人研究では絶対解明できな
い難問です。しかし、それにもかかわらず、素人でもまた子どもでも挑
戦できる点が、この現象の魅力でもあります。
一方で、この一見不思議な現象に対して完璧な調査研究がまだ行われて
いないのは残念でもあります。今回の番組に触発され日本でそのような
研究プロジェクトが組織されたら嬉しく思います。ただし測定と理論は
相当精密かつ網羅的あるいは系統的でなければなりません。このプロジ
ェクトに挑戦される方はぜひご連絡をお願い致します。
なお、番組で私は幼稚園児と一緒に氷のデザートをつくるサイエンス
アイの前野として登場します。この部分はどうぞ気楽にご覧になって
ください。
----------
転載おわり。
以下,このブログの著者,モリキンによるコメント。
ムペンバ効果は,お湯と水を同じ容器に入れて低温化に置いたときに,
お湯の方が先に凍ることがある,という現象だ。
現象としては確認されているが,それがどうして起こるのかはわかっていない。
色々な物理的条件が重なったときに起こるのだろうが,それが何なのかが分からない。
素人視点ながら私が思いつく範囲でも,容器の形状が与える容器内対流への影響,
容器の熱伝導率等,温度,容積以外の多くの要因がある。
だが,似非科学の範疇に入るような現象ではないと思う。
私自身が自分の目で確認した現象ではないが,いくつかの研究事例があり,
権威である前野さんが紹介されていることから,実際に起こるというのは信じるに足る。
俄かには何かの間違いでしょ,と言いたくもなるが,それは例えば
重力があるのに空気より比重の大きい飛行機が空を飛ぶのはありえないというようなもので,
特定の条件がそろえば(この条件が未解明なわけだが)再現される現象なのだろう。
ためしてガッテンは一度観ただけで仔細は忘れてしまったが,紹介の仕方に問題があったように思う。
沸騰寸前のお湯をぶちまけていた話についてはムペンバ効果以前の効果があるのではないか。
低温で容積絶対湿度が低い空気にお湯をぶちまけたのだから,凍る以前に蒸発している分もあるだろう。
それから,水の温度と凍るまでの時間がきれいな一本のグラフで示されていたが,
どんな条件でもムペンバ効果が起こるような印象を与えるのでよくない。
はやく凍らせたいときに製氷皿にお湯を入れろ,というのはやめたほうがいいでしょ。
火傷のリスクは増すし,冷凍室付きの冷蔵庫を作っているメーカーが想定している
用途ではないだろうから。
---
前の記事では多くのコメント,トラックバックを頂きました。
世の中,専門家を標榜する人が(私を含めて)間違うことはよくあります。
批判精神を持ちながら様々な見方をする人の考え方が比べられるのはwebの面白いところです。
『この記事へのコメント』
以前の質問の御答えは無いようですので,失礼ながら、もう一度質問さしてもらいます。
貴ブログの事を、『NHKの番組内容を全面的に肯定する内容』と当方のブログへコメントしてきた人が有り、当方のブログ記事に『NHK放送を全面的に信じている人物のブログ』として記事の一部に書いてしまいましたが、事実は、如何なのでしょうか。?
(1)>ためしてガッテンは一度観ただけで仔細は忘れてしまったが,紹介の仕方に問題があったように思う。
★放送に問題点があったことは認識して頂いているのでしょうか。?
(番組を見てから最初の記事を書いていたのか。?それなら何故あのような表現になったのか不思議)
(『放送に問題点』とは具体的には何を指しているのか。?何が問題だと思ったのか。?)
(2)>それがどうして起こるのかはわかっていない。
>色々な物理的条件が重なったときに起こるのだろうが,それが何なのかが分からない。
★ご自分で、『判らない』と仰っておられますが、色々上げておられますが、なにか判っている部分もあるのでしょうか。?
(この部分は特に不思議)
(3)>だが,似非科学の範疇に入るような現象ではないと思う。
>私自身が自分の目で確認した現象ではない・・・
★ご自分で体験も経験も研究もなさっておられずに、何故、『似非科学ではない』の結論に結びつくのでしょうか。
学会の研究会の様のものでもあるのでしょうか。?
(早急な偽科学のレッテル張りは危険だが、早急な『似非科学で無い』の権威付けも同程度に危険)
(4)>権威である前野さんが紹介されていることから,実際に起こるというのは信じるに足る。
★権威ある人格を信用する事は結構な話と思いますが、事は科学の話で宗教でも政治でも、人付き合いの話でも有りません。
この発言は、余りに科学的態度からはかけ離れておられるようですよ。
科学する心で一番大切なモノは懐疑する心だと思いますが、如何でしょうか。?
(本当に科学者??学生としては優秀なんでしょうが科学者の発言としては軽率すぎるのでは・・・)
その権威ある前野さんも、
(5)>これまでMpemba Effectを調査したという報告は数え切れないほど多数
発表されています。しかし、残念ながらどれもこれも厳密さと論理に
おいて不満足なものばかりで、素人研究の域をでていません。
、とあります。
★正に似非科学の典型例の特徴に酷似しています。如何思われますか。?
(普通は、此れだけ色々と条件が揃えば、科学者なら似非科学を疑う筈なんですが)
★前野氏の指摘のとおり、何らかの条件が重なれば、再現性は低くとも、温度の高かった容器の水の方が先に凍る現象は有りうる話です。
(普通では問題にされない微妙な条件の差で、非常に大きな変化が起こるのが科学の世界です)
★しかし、全く同一条件下での、温度の高い方から凍るでは、物理的に説明不能(似非科学)だと思いますが、如何でしょうか。?
(誰か一人でも、科学的な成功例があるのか不思議)
★NHK放送は間違いだったの解釈で宜しいのでしょうか。?
間違いであるとすると、当方のグログ記事の表現を訂正しておかなければなりません。
お答え頂けるものと、期待いたしております。
Posted by 逝きし世の面影 at 2008年07月17日 10:12 |
裏話をすると,ある私大の「教育学者」がこの番組の制作に関わっていたという内部情報が入ってきました.なるほど,それでハンドル名を換えてはムペンバ効果は正しい,トリックを明かせ,などと騒いでいるのですね(笑) NHKの偉いさん (光市事件でお世話になった BPO の委員の一人) と知り合いだと,色々と便利なこともあるもので.
NHKの放映の後、面影さんがエントリーを上げたのを知らず私もこの件を「不思議だ〜」の観点で記事を書きました。
そしてコメンターの方から指摘を受け半信半疑になり、検索をした結果「おおむね、あり得るか」の感触を得て、でも自分なりに実験はしてみたいと思ってました。
実は実験は見事に失敗!w
ま、失敗というより確認ができなかったといったほうが良いでしょうね。
で、思うことは、NHKでは「驚きの氷早作り技」という形で番組の中で紹介していましたが、これはいくらなんでも一般の視聴者を混乱させるものだったのではないでしょうか。その点から言えば面影さんの抗議は当然根拠のあるものと考えます。
家の冷蔵庫では-20℃の環境が無いので「早く」というほどの確認はできませんでした。おそらくは条件が大きく問題とされ冷凍会社の冷凍倉庫の中で観察するなら違いが出るかもしれないと思ったものです。それに容器の形状も何でも良いというわけでもなさそうです。それはこの「ムペンバ効果」とやらがいまだ科学で解明されていないということからも明らかなように水分子説なのか蒸発説なのか対流説なのか混乱しているからです。いずれにせよ何か条件がよければ「効果」があるとされるものが見られるのかもしれないとは思っています。
少なくとも我が家の冷蔵庫環境(-10℃)でのことで言いますと、100mlの水と湯がそれぞれ20℃と70℃で比較したところ45分で水の方が先に表面から凍り始めました。完全に凍るまでは実験できてませんので確認はできませんが、水も湯も同じ時間のように思えました。しかしこれはたとえば10分間隔で確認していたわけではないので当てにはなりません。何度も言いますが-20℃か-30℃の環境としっかりした研究態度がある研究者の結果が出ないとなんとも言えないと思いました。
「NHKが肝心な冷蔵庫での製氷実験をしていない」のではないか?
想像に過ぎないかもしれないが「家庭の冷蔵庫で実験済み」ならば、何故その映像を出さないのか?の疑問が出てくる。
私は素人ながらも温度計を突っ込んで見たり容器を変えてみたりしたが、所詮素人なので違いがわからず「しっかりした研究態度がある研究者の結果が出ないとなんとも言えない」との結論となりました。
ムペンバ効果を完全否定する根拠も無い私ですが、NHKはもっと番組作りを真面目にやってもらいたい。いまはNHKに抗議する気持ちの方が強いといっておきます。
日本国中でどれほど多くの方が実際に試したのかはわかりませんが、私が経験したことで言うなら「迷惑な話」であったということです。
最初に「この放送内容は信じないでください」とあれば許してあげないこともありません。(皮肉)w
ま、くどくど書きますが「ムペンバ効果」を確認するには素人は無理であり、家庭の冷蔵庫では違いがわからない。という話でした。
sun.ap.teacup.com/souun/170.html
今の日本では、ムペンバ効果をブログに書くのはタブーに近い事柄らしいですよ。
当方のブログで『NHKはインチキをした』と本当の事を書いたら袋叩き状態です。
あの番組は誰でも簡単に出来る裏技を紹介して人気になっているが、実はNHKの放送ではムペンバ効果の再現に失敗しているんですよ。
しかし多くの人(NHKを信用している人)が、凍ったと思っている。
信用していると無いモノが見えるんですよ。あれは完全なんる宗教(反科学)ですね。
私のブログ記事のタイトルでは『偽科学』となっていますが、本当は『反科学』(宗教)です。
ただ反科学(反科学)は一般的な言葉でな無いので、便宜的に偽科学の言葉を使っていますが、正確には反科学(反科学)です。
すみません。
水からの伝言(似非科学)騒動をすっかり忘れて不正確な言葉遣いをしてしまいました。
偽科学とは、科学的権威を利用していますが、反科学(宗教)はその反対で科学的に解明できない不思議が宣伝文句です。
実用的な科学番組で反科学(宗教)をやったわけです。しかも失敗しているが、口先で成功を信じ込ませた。
ほとんど犯罪行為ですよ。
先日いただきましたコメントを、記事として表に出させていただきました。
ご了承を頂かないで、事後承諾のお願いですが・・・・
kaetzchenとやらは学問には全然関係ねえな(大笑)。
当たり前か、妄想型患者だもん。毎日「電波」受け取っているんだろよ。