患者が感じる病院の印象が劇的に変化
メディカルコンソーシアムはこのほど、「インプレッショントレーニング初級編−病院の印象力はあなた次第−」をテーマに定例研究会を開催した。
インプレッショントレーニングとは、外見・声・言葉という人の印象を決める3要素のレベルを上げて、相手に与える印象を変えることを目的としたもので、講師の重田みゆき氏(エムスノージャパン取締役インプレッショントレーナー)は、日本で唯一の「インプレッショントレーナー」。
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重田氏は病院の印象を決めるポイントにはハード、ソフト、ヒューマンの3要素があると指摘。「建物の大きさや立地条件といったハード、設備などのソフトを改善するには、相当なお金が掛かる。ヒューマンについても、例えば素晴らしい技術を持った医師でも対応がまずければ、患者に悪い印象を与えてしまう。これまではその3要素で競ってきたと思うが、今後は病院ブランディングに最も欠かせない印象力をそこに加えていただきたい。特にスタッフの印象教育は、実は一番コストを掛けずに患者からの病院の評価を劇的に変えることができる」と述べた。
重田氏は、人の「感情的印象」を決めるのは外見が55%、音声が38%、言葉の内容が7%だとする「メラビアンの法則」などを紹介。
さらに、医療関係者の印象ポイントとして、あいさつ、言葉遣い、身だしなみ、表情、立ち居振る舞いを挙げ、これらすべてがTPOに合っていれば、バランスの取れた「印象人間」になれるとした。
研究会では、「声の表情」と「顔の表情」をトレーニングした。
まず、唇を突き出して、おなかから息を吐き出し、唇を震わせることで気管を鍛える「ブルブルトレーニング」。おなかから気管を通して発声すると、声の大きさにかかわらず印象が良くなる、と重田氏は話している。
さらに「大変でしたね」、「よく頑張りましたね」、「ありがとうございます」などの一言で相手に印象付けるトレーニングとして、EとIの2つの母音の正しい発音方法を学んだ。
また、重田氏はあごの位置や角度による印象の変化や、声を掛ける際の自分の立ち位置次第で、相手への印象が異なることを参加者と共に検証した。
重田氏は、日本ではサービスに不満を持った人の9割が、一人当たり平均13人にその不満を伝えるとする国民生活センタ―による調査結果を紹介。10人不満を抱いた人がいたら、117人に伝わってしまうと指摘した。このため、クレームをチャンスと受け止め、しっかりと応対することが重要だと強調した。
メディカルコンソーシアムでは今後も、病院検索サイト「病院の通信簿」を運営するフィードバックジャパンと共同で、インプレッショントレーニングセミナーを開く予定。フィードバックジャパン代表取締役の蔵敷健治氏は、「医療者に大切なのは結局、人間力。このトレーニングはマニュアルを教えているのではなく、自分から楽しく挨拶をし、内面から変えていくトレーニングで、これで磨かれた成果が患者と医療者との垣根をなくしていくのではないか」と語った。
研究会に参加した看護師は、「客観的に自分を見詰めることで、自分の傾向などをあらためて知り、できていないこと、足りないところを把握できた」と感想を語った。
更新:2008/07/17 17:00 キャリアブレイン
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