2008-07-17(Thu)
私が捨てたもの
働く母 |
女性は結婚や出産を機に人生の転機を迎えることが多いし、男性の転職も珍しいことではなくなった。
環境を変えることは、前向きな変革であり、挑戦である、と多くの人が考え、ポジティブな側面ばかりが喧伝されている。
でも、環境を変えて失われるものについては、あまり語る人がいない。
転職して半年を過ぎたところで、私が失ったものについて振り返ってみる。
それまでいた世界における信用
信用、というのは語弊があるが、それなりに長い間、同じ業界で飯を食っていれば、「これについてはあの人に」と声がかかることも多くなる。経験が肩書きになる。
通常の仕事とは、少し違う分野からも、「あの分野のエキスパートに話を聞こう」と呼んでもらえて、世界が広がる。
私はまず、アカデミアンとしての経験と肩書きを捨て、次に研究者としての経験と、肩書きを、すべて捨てた。
アカデミアにいるあなただったら、うかがいたい話もあったんですけどね。え?もうあの研究していないんですか。惜しいなあ。
研究者としてのあなたの意見を聞きたかったのですが、もう研究者じゃないんですね。残念ですがまたいつか。
友人
かつていた世界を去るということは、その世界を部分的にせよ否定することだ。
その世界に今もなお残る人の中には、私がその世界を去ったことで、自分の価値観を否定されたと感じる人もいる。
決してそうではない。しかし、そうではない、と伝える私の言葉と行動がつたなくて、私はある友人を失った。
有給休暇
すこし位相の違う話になるが、有休の日数が振り出しに戻ってしまった。
子どもがいなければどうということはないが、幼児を抱えていると、初期値の有休日数では厳しすぎる。
自分の体調が悪くても、いつ子どもが熱を出すか、と思うと休めない。
特に子どものいる人や、体の弱い人にとっては、あなどれないポイントだ。
半年間とどまって、それから動こう
違う世界に行ってみよう、と思ったら、まず半年間はその場に居続けることを勧める。
自分が積み上げてきたものの価値を、その間に冷静に見定めよう。
「こんなもの」と思っていたものが、意外に大切なものであったりする。
それでも、その世界を離れることの価値の方が大きいと思ったら、決断しよう。
そのくらい頑張れば、その後失うことになるものについても、自分の中で整理ができるはずだ。
でも、きっといつか取り戻す
私は多くのものを失った。でも、いつか私はそれらを取り戻す。
今いる世界で、私はまだ何ものでもない。経験の浅い、無資格の特許技術者にすぎない。
しかし、経験と資格を手に入れることによって、かつていた世界で積み上げたものが、再び生きてくるだろう。
新しい人脈もどんどんできるだろう。つくっていくだろう。
しかし、失った友人だけはかけがえのないものだ。友人自身をいつか取り戻したいと願いながら、毎日を生きていくしかない。
雌伏の時に手放してはいけない、たった一つのもの。
それは希望であると私は思う。
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あれもやりたい、これもやりたい、でも、あれもできない、これもできない、毎日慌しいのに、なんで進まないの??と、思う日々。私の場合ですけどね。
私の母によく言われます。女は50才からだって、思いっきり輝けるんだからって。もちろん、それまで子育てに専念して、仕事をせずに待つつもりは全くないけど、でも、やっと、始まったんだろうなって。
職探しに付きまとう年齢制限、これはやはり男社会の産物なのだろうと。ほんとうに無意味。と、言える様になるために、私も希望を持ち続けたい。
私の場合と違うのは、藤井さんはとても才能豊かで、どこに行っても惜しまれる方だと思う。私の場合、私がやめる、と言えば、そうか残念だなぁ、ぐらいだもの。
これから、の方がずっと長い。これからも藤井さんらしく、で、お願いいたします。長くなってしまって済みません。まだまだ書きたいことはあるのですけど。
というのには、
共感したのですが、
>有給休暇
は、減る場合もあれば、
増える場合もあるのかなと思いました。
なんとなく、
環境を変えると給料が減る、
って言われたときのような違和感を覚えました。
わがコたちの留字はふたりとも「希」です。希望を持ち・与える人であるように、と願ってつけました。
>雌伏の時に手放してはいけない、たった一つのもの。
>それは希望であると私は思う。
私もそう、思います。