安倍晋三前首相の実兄が、週刊現代(講談社)の連載記事で名誉を傷つけられたとして、連載を執筆したフリージャーナリスト松田賢弥さんに5千万円の損害賠償と謝罪文の掲載を求めていた訴訟の判決が17日、広島地裁であり、橋本良成裁判長は「(記事には)創作があり、編集の範囲を超えている」として、松田さんに200万円の支払いを命じた。
判決によると、松田さんは06年8〜10月、週刊現代に「安倍晋三『空虚なプリンス』」と題し、安倍氏の政治家としての資質を批判する内容の記事を掲載。その中で、弟の岸信夫氏が04年7月の参院選に出馬する際、安倍氏が家系の血統的背景を理由に反対し、安倍氏の兄も同調したなどと記載した。
判決は「原告が(出馬に)反対したと誤解され、社会的評価を低下させた」と判断。松田さんが安倍氏の兄への取材から引用して掲載した文言について、「内容の主要部分が原告の発言の趣旨から著しく逸脱している」とし、「編集の範囲を超えた創作だ」と結論づけた。
週刊現代編集部は「記事は原告本人への直接取材によって得た事実を記述したものであり、それを創作とした判決内容は到底、容認できない」とコメントした。