静岡市の会社が「おから」を車の燃料にし、試験運転にまでこぎ着けました。
トウモロコシやサトウキビなど、植物から作るバイオ燃料が石油に替わるエネルギーとして注目されていますが、静岡市の会社は、産業廃棄物として捨てられている「おから」を車の燃料にし、試験運転にまでこぎ着けました。
豆腐を作る過程でできる「おから」。
おからは大豆のしぼりかすで、値段が安く、栄養価が高いことから、日本人の食生活には欠かせないものだった。
しかし今では、多くが産業廃棄物として捨てられている。
その量は年間80万トンで、25メートルプールで2,100杯分に相当する。
豆腐屋では「おからは、ほとんど煮る人がいないですよ、今は」という声が聞かれた。
「おからをごみで終わらせるのはもったいない」と、静岡市駿河区の静岡油化工業が立ち上がった。
県工業技術研究所、ビール会社と一緒に、およそ5,000万円をかけて、車の燃料となるエタノールを作る製造機を開発した。
静岡油化工業の長島 磯五郎社長は「これはもったいないなと。われわれは、おからで育ってきたのに、何とかならんだろうかと」と語った。
静岡油化工業は、静岡県内から出たおからを集め、おからバイオエタノール製造機に入れる。
その後、発酵、糖化、蒸留、脱水という焼酎と同じ工程を踏む。
そして、待つこと5日、おからから生まれ変わった燃料が誕生する。
このおからエタノールを3%ガソリンに混ぜ、ガソリンの使用量を減らすことで、地球環境に役立てる。
すべての車に使われれば、年間762万トンのCO2(二酸化炭素、2は下付き文字)削減につながる計算になる。
6月、試験走行の出発式が行われ、エンジンへの影響はないのかなどのテスト期間が始まった。
さらに、おからから作られたエタノールだけで、エンジンを動かす実験が行われた。
静岡工科自動車大学校の平井一史校長は「(エンジンが)かかりましたね」、「(日本は)アルコール100%の車を作ってるわけではありません。現時点ではいろいろ、例えばアルコールの通るホースとか、材質の問題、いろんな問題がありますけど、将来的には、非常に楽しみですね」と語った。
法律上、3%を超えて混ぜることはできないが、おからエタノールは新たなエネルギーとして登場し、動き始めた。
静岡油化工業は、1年間の試運転を経て、販売を始める予定。
長島社長は「給食センターの米粒、残飯、そういうものをどんどんエタノールにしていけばいいんじゃないかな」と語った。
かつては、食としてわたしたちの体にエネルギーを与えてくれた「おから」だが、これからは環境に優しい燃料として、わたしたちの生活に新たなエネルギーを与えてくれることになる。