ニュース: 生活 RSS feed
【ゆうゆうLife】医療 勤務医が辞める理由(下)大学頼りから住民協力へ (3/3ページ)
◇
住民が地域の医療崩壊の歯止めとなる動きは、全国に広がりつつある。兵庫県丹波市では、県立柏原(かいばら)病院の小児科が休止に追い込まれそうになり、昨年、地元の母親らが「柏原病院の小児科を守る会」を発足させ、「コンビニ受診をやめよう」などと住民に呼びかけた。
その結果、同病院の小児救急患者は半減。昨年末には、他病院の小児科患者も受け入れるまでになった。病院側は「守る会の理解や協力がなければ、柏原病院の小児科は確実に消滅していた」と異例の声明を公表した。2人だった小児科医は今や5人に増加。小児科医不足に悩む地域の他病院に医師を派遣もする。
東金病院の平井院長は「医師の供給システムは、これまで大学からの派遣に頼りきっていたが、(研修医が研修先を選べる)研修制度になって完全に崩壊した。これからの地域医療は、地域がどれだけ戦略的に医師を呼び込めるかにかかっている。地域で育てた医師は必ず地域に戻ってくれる」と地域の医療機関と住民連携の必要性を訴える。
阪南市民病院も11日付の市民への案内で内科診療再開を告げ、「医師招聘に、あらゆる可能性を駆使して行動し、信頼によるネットワーク(つながり)ができました。阪南市連合婦人会をはじめとする市民のご協力ご支援をいただき、さらなる医師招聘に全力で取り組みます」と記し、大学頼りだった医師招聘からの脱却を示した。