大分県の小学校教員の採用試験をめぐる汚職事件で、受験者の成績データを改ざんしたとされる元県教委義務教育課参事、江藤勝由容疑者(52)=収賄容疑で再逮捕、16日付で懲戒免職=が、職場の共用パソコンと自宅のパソコンの双方で改ざん作業をしていたことが関係者の話などから分かった。
自宅パソコンには、改ざんを示すデータや合格者リストなどが残っていたが、職場の共用パソコンからはデータの一部が消されていた。県警は両方のパソコンを押収し、内容の分析を進めている。自宅パソコンのデータは、不正合格者の採用を取り消す方針を打ち出した県教委の調査に役立つ可能性があるという。
県警の調べや関係者の話によると、07、08両年度の採用試験の際、江藤元参事は上司の指示を受け、職場の机上の共用パソコンを操作して、受験者の成績を改ざんしていた。一方で、江藤元参事は共用パソコンからデータを持ち帰り、自宅のパソコンにも受験者の正規の成績一覧や改ざん後の合格者リストなどを入力していたという。
江藤元参事に長男の合格を依頼したとされる元小学校長、浅利幾美被告(52)=贈賄罪で起訴=や、元県教委義務教育課参事、矢野哲郎容疑者(52)=贈賄容疑で再逮捕、16日付で懲戒免職=が昨年10月、江藤元参事宅に集まった際は、パソコンに保存されていた合格者リストを見て、浅利被告の長男の合格を確認したという。
共用パソコンの操作にはパスワードの入力が必要だが、パスワードは江藤元参事を含む県教委の一部の職員しか知らなかった。県警はデータ消去は意図的な証拠隠滅の可能性があるとみて、データを消去した人物の特定を急いでいる。