愛知県の東名高速道路で16日発生したバスジャック事件で、県警に身柄を確保された男は山口県宇部市の中学2年の少年(14)と分かった。少年は15日未明に家出し、家族が山口県警宇部署に家出人捜索願を出していた。愛知県警は16日、少年を監禁と銃刀法違反容疑で現行犯逮捕、少年は調べに「親にしかられ、嫌がらせしてやろうと思った」と供述しているという。
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調べでは、少年は同日午後0時55分ごろから約1時間、JR東海バス(名古屋市中川区)の名古屋駅発東京駅行き高速バス「スーパーライナー」号内で、男性運転手(39)の首に果物ナイフ(刃渡り約10センチ)とペティナイフ(同12センチ)を突きつけ、運転手と乗客計11人を監禁した疑い。
少年は運転手に「走れ」などと要求。バスに乗り合わせた同社の男性社員(41)が事件発生直後に会社を通じ県警に通報してから約15分後、携帯電話で自ら「バスジャックした。パトカーが追尾しているのを知っている」と110番していた。調べに「一般道ではバスを止められる恐れがあるため、高速道路に入ってからナイフを持ち出した」と供述しているという。ナイフは名古屋駅近くの100円ショップで購入していた。
県警はバスが豊田インターを過ぎた付近から前後を捜査車両ではさみ込むなどして停車させ、携帯電話で少年を説得した。「東京に行くんだ」と言う少年をなだめ、バスを美合(みあい)パーキングエリア(同県岡崎市保母町)に誘導した。ドア越しに捜査員が説得を続けたところ、少年はナイフを座席近くに置き、乗客を解放。捜査員が突入した際も抵抗しなかった。
少年は会社員の父親(42)、母親(41)、妹(12)の4人家族。宇部市教委によると、中学で学級委員長を務め、ソフトテニス部に所属。少年は女子生徒との交友を巡って親からしかられたという。
少年は15日夜、福岡県のJR小倉駅から新幹線で名古屋駅へ行き、名古屋市内のビジネスホテルに宿泊。16日は同駅から高速バスに乗車した。事件当時は黒の長袖シャツ、紺のジーンズ姿で、黒のサングラスをかけ、サンダル履きだった。
バスは2階建て車両で正午に同駅を出発。東京駅に同6時過ぎに着く予定だった。【秋山信一、飯田和樹】
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