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独島:歴史わい曲は安倍政権の遺産

ソウル市鍾路区の在韓日本大使館前で抗議活動を行う韓国教員団体総連合会のメンバーら。日本が新学習指導要領の解説書に独島の領有権を明記したことを糾弾する記者会見を開き、指導要領を模したパネルを燃やしている。/写真=チュ・ワンジュン記者

 日本政府が14日、中学校社会科の新学習指導要領解説書を改定し、独島(日本名竹島)に関する記述を盛り込むことを決めたのに続き、15日にはこの解説書の適用が開始される2012年を待たず、来年から教育現場で教える方針を固めたことは、日本の政府、官僚が領土問題に関しどれだけ緻密(ちみつ)に動いているかを端的に示している。

 日本政府は14日まで、改定内容が韓国側の立場に「配慮」したものだとの立場だった。改定案発表当日に福田首相が開いた会合で最終方針を決めたという。最後まで苦心したともいう。韓国側の反発が予想より強いと懸念する声も出た。しかし、これらは一夜明けて全て吹き飛んだ。この程度は予想の範囲内で、さらに想定された水準があるのではないかとの分析が有力になっている。

 こうした流れの背景には、紛争地域化を通じた海洋領土拡張を図る意図とともに、いわゆる「普通の国」を目指す右派勢力の国家再改造作業がある。今回の解説書改定の直接のきっかけは2006年にさかのぼる。同年9月に自民党内の右派勢力の支持を得て安倍前首相が就任した。当時の安倍のスローガンは「戦後レジームからの脱却」だった。1990年代後半から本格化した右傾化の流れの延長線上にあった安倍前首相は、戦後の日本が米国によって「去勢」された国家だととらえ、交戦権を否定した「平和憲法」を改正すべきだと主張していた。安倍前首相を中心とする自民党内右派の目標の一つが教育基本法改正だった。1947年に個人の人権を中心的な精神に据えて制定されて以来、一度も改正されたことがない基本法は日本では「教育の憲法」と呼ばれる。安倍政権は06年12月、愛国心を中心に据えた内容への改正に成功した。人権教育から国家主義教育への転換だ。野党4党は強く反発したが、自民党は議会での多数を使って改正案を成立させた。

 文部科学省は今年3月、教育基本法に基づき、国家主義の象徴である君が代を小学校で教え、中学校では「国を愛する心」の涵養(かんよう)するとした学習指導要領を告示した。小中学校の道徳教育の目標に「わが国と郷土を愛する」との表現で愛国心の強化が盛り込まれ、小学校の音楽の時間にはどの学年でも君が代を歌えるように指導すると明記した。中学校社会科に関する部分は「わが国の安全と防衛及び国際貢献について考えさせる」との文言に改定された。これは自衛隊の海外活動を念頭に置いたものと言える。指導要領には独島に関する内容は盛り込まれなかったが、今回指導要領を補足する解説書に記述された。今回の解説書は自衛隊に対しても「自衛隊がわが国の防衛や国際社会の平和と安全の維持のために果たしている役割」を考えさせると踏み込んで記述した。

 07年9月に安倍首相が近隣諸国との関係悪化や内政面での失敗で辞任し、「隣国が嫌がることはしない」という考えの福田康夫首相が就任した。しかし、消息筋によれば、教育基本法改正の後続措置は誰が首相かに関係なく、自民党と政府によって進められてきたという。また、独島問題は教育理念の問題であると同時に領土問題にかかわるため、教育基本法改正に反発していた野党も今回は歓迎の意向を示している。従って、こうした一連の動きを見過ごした韓国政府にも問題があるとの指摘もある。

東京=辛貞録(シン・ジョンロク)特派員

【ニュース特集】独島問題

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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