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東ティモール:人権侵害行為、インドネシア軍の組織的関与認める 両国政府が承認

 【ジャカルタ井田純】東ティモールで、1999年の住民投票の際に起きた人権侵害行為について調査していた「真実と友好委員会」は15日、インドネシア国軍の組織的関与を認定する報告書を出した。委員会は同日、バリ島で、インドネシアのユドヨノ大統領、東ティモールのラモス・ホルタ大統領に報告書を提出。両国政府がこれを正式に承認した。

 ◇調査委の報告書、両国政府が承認

 報告書は、多くの独立派住民が犠牲となった殺害、違法拘束、強姦(ごうかん)などの「重大な人権侵害」について、インドネシア国軍や警察が、併合派民兵を支援したり、直接手をくだす形で関与したと認定。「組織化された暴力行為、政治的弾圧」があり、インドネシアに組織的責任があると指摘した。報告書は一方、独立派側にも併合派勢力に対する人権侵害行為があったとしている。

 また、報告書には両国への勧告として、騒乱時に行方不明となった住民の調査や、住宅などの被害回復、両国大統領が共同声明による公式謝罪を行うことなどが盛り込まれた。

 一連の騒乱をめぐっては、訴追されたすべてのインドネシア軍、警察関係者の無罪が確定。これに国際社会からの非難が上がったため、両国政府が05年に委員会を設立した。当事者の刑事訴追でなく、真相究明と、共通の認識に基づいた両国の和解を目的として、当時の公文書の調査や関係者の証言聴取を進めてきた。

 報告書を受けて、ユドヨノ大統領は、事件への遺憾の意と犠牲者への哀悼を表し、「インドネシア政府は報告書を検討し、必要な措置を取る」と表明した。報告書は、「加害者の赦免は求めない」と明記しているが、インドネシアとの関係を重視するホルタ大統領らに、当事者の訴追を求める考えはないとみられ、刑事手続きに発展する可能性は低い。今後は、両国が和解に向けてどのような対応を取るかが焦点となる。

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 ■ことば

 ◇東ティモール独立と住民投票

 76年からインドネシアの支配を受けていた東ティモールで99年8月、独立の是非を問う住民投票が行われ、独立支持派が圧勝。しかし、併合維持を主張する民兵らによる騒乱で、少なくとも千数百人が死亡。多数の市民が略奪、強姦などの犠牲になった。

毎日新聞 2008年7月16日 東京朝刊

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