瞳を見れば、その人が育ってきた環境がわかるという。
瞳のなかに、その人の内面が現れるから―――
桜井翔、15歳。
飛ぶという名前を持ちながら、飛べなくなった。
そんな傷ついた鳥のような、心
いつも、空を眺めていた
何故、鳥は飛べるのに、俺は飛べないのだろう。
何故、俺は飛べなくなったのだろう
ガシャン
「ごめんなさいっ」
翔「いえ、こちらこそ」
「ほんとうにごめんなさい」
翔「大丈夫?」
「ええ、大丈夫です。君は?」
翔「俺は大丈夫。痛っ」
「大丈夫じゃないじゃない。お見舞いの人じゃないでしょ?患者さん?」
翔「入院中。お姉さんは?」
「今日から、ここの病院で実習することになった、山下 優よ。君は?」
翔「桜井翔」
優「私の担当じゃない。よろしくね」
翔「はい・・・」
優「病室戻ろう。どっちみち、もうすぐ、回診の時間でしょ?」
翔「うん」
「山下さん、あなたどこ行ってたんです?こんな一大事に」
優「一大事?」
「あなたの担当の男の子がいないのよ。あの足でどこ行ったのかしら」
翔「俺ならここにいますけど」
「翔君?どこに行ってたの?」
翔「売店いって、回り道しながら帰ってたら、山下さんにぶつかった」
「今度から時間までに戻ってきてね」
翔「はーい」
「先生、翔君見つかりました」
医師「桜井君、足はどうだ?」
翔「ぼちぼち」
医師「あまり無理をするんじゃないぞ。退院がのびるだけだからな」
翔「はいはい」
医師「じゃあ、次行こうか」
数週間後―――
優「翔君、なんでいつもいないの?ったく・・・また探さないと・・・・・」
屋上――
優「見ーつけた」
翔「山下さん?」
優「そうよ。なんでいつもいないのよ。探すの大変なんだからね」
翔「空・・・・・」
優「え?」
翔「空を見に来てるんだ」
優「空・・ね」
翔「ねえ、山下さん」
優「何?」
翔「鳥は飛べるのに、なんで俺は飛べなくなったんだろう」
優「治ったら、また飛べるようになるよ」
翔「無理だよ・・・もうわかってるんだ。俺にはもう、飛べない」
優「なんでそんなこと言うの?」
翔「自分の体のことぐらい、わかってるつもりだよ」
優「翔君は、絶対飛べるようになるよ!」
翔「なんで、そんなことが言えるんだよ・・・・・・」
優「翔君の瞳・・・・輝いてるから」
翔「俺の目?」
優「鳥みたいに、輝いてるから、また飛べるようになるよ」
翔「また、飛べる?」
優「ええ、飛べるようになるよ」
翔「なんでだろう・・山下さんに言われると、できるような気がする」
優「それは、私が、翔君と同じだったからよ」
翔「え?」
優「やばい!10分も抜け出してる・・・・。
じゃあ、お昼の回診までには、部屋に戻ってなさいよ!」
翔「山下さん、朝言ってたことって?」
優「そうねー、翔くんがまた、飛べるようになったら、教えてあげるわ」
翔「わかった。絶対だからな!」
つづく
あとがき:リクエスト第2弾・・・・つかれた・・・・
続きもすぐ書きますけどね・・・
でわ、後編でお会いしましょう
翔の小説でした。