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物流:「日本企業は釜山港利用で費用削減可能」

●物流専門家・柳井教授が朝鮮経済フォーラムで講演

「日本国内は物流コスト高、釜山・光陽をハブ港にすれば節約効果12.4%」

 11日、富山県民会館(富山県富山市)で第18回朝鮮経済フォーラムセミナーが開かれた。写真は「新時代の韓日経済協力」というテーマで講演した東北学院大学の柳井雅也教授。/チョン・ハングク記者
「韓国の鍋料理である“チゲ”にはいろいろな材料が入っています。東アジアの貿易構造は、相互補完的な分業や交易を通じ、各国が得意とする材料(中間材)を1カ所に集め、チゲ(完成品)を作るのと同じです」

 地域経済論・物流専門家である東北学院大学の柳井雅也教授は11日、富山県民会館(富山県富山市)で開催された第18回朝鮮経済フォーラムに出席、テーマ発表でアジアの貿易形態を多数の材料が味のハーモニーを奏でる「チゲ」に例えた。そして、「これこそ、同じ地域内の国々が製品を原材料から完成品まで自己完結型で生産する産業が多い欧州連合(EU)や北米自由貿易協定(NAFTA)との大きな違い」と述べた。

 柳井教授は「新時代の韓日経済提携」をテーマにしたこの日の発表で「韓日もそれぞれが得意とする分野で協力すれば、大きな相乗効果が得られるだろう」と語った。そして新時代における韓日経済協力のキーワードに「物流」と「ハイテク」を挙げ、いくつかの具体的な協力案を提案した。

 柳井教授はまず、「日本国内の物流コストは高い。日本企業は釜山港と光陽港を物流ハブ(中枢)として利用すれば、コストを削減できるだろう」と述べた〈概念図参照〉。柳井教授は物流コンサルティング会社であるJ&Kロジスティクスの資料を引用し、「日本の主な地域10カ所では、東京・大阪を物流ハブとして利用するよりも、釜山港を利用するほうが物流コスト面で12.4%の節減効果がある」と語った。

 また、柳井教授は「三菱の小型ジェット旅客機開発事業のように、技術力や波及効果が高い分野に韓国企業がコンソーシアム(企業連合)の形で参加し、韓日新時代の協力を象徴する分野として共同開発を目指すのはどうか」と提案した。

 テーマ発表後、討論に参加した西江大学のホ・ギュン教授は「韓日自由貿易協定(FTA)は農業や非関税障壁などで両国の見解に大きな違いがある。だが、FTAのような大きな論議ではなく、今すぐできることから実践しようという柳井教授の機能論的なアプローチは、補完的な役割を果たすだろう」と述べた。大韓生命経済研究室のチェ・ソンファン常務は、釜山と蔚山、そして北朝鮮の元山、咸興までをつなぐ「東海(日本名:日本海)ベルト」を作り、北東アジア物流の拠点にする案を出した。

 セミナー開催に先立ち、出席者らは世界最大のファスナーメーカー(世界シェア45%)「YKK」の富山工場を見学した。見学終了後の質疑応答で、「YKK平沢工場と日本の工場との生産性はどれくらい違うか」との質問に、YKK韓国社の佐々木慶弘社長は「まったく同じ機械を使っているが、日本の生産量を100とすれば、韓国は80~85程度」と答えた。その理由について、佐々木社長は「労働環境の違い、つまり労使関係などの問題もある」としたが、「こうした部分が改善されれば、日本からの投資もさらに活発になるのでは」と語った。

富山=イ・ジフン記者

チョン・ハングク記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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