光ファイバー回線を利用するIP電話「ひかり電話」のチラシや広告で、必要な利用料を明記せず、実際よりも安く使えると消費者に誤認させるような不当表示が多数あったとして、公正取引委員会は15日、NTT東日本と西日本に、景品表示法違反(有利誤認)で排除命令を出した。
電気通信事業者が不当表示で、行政処分にあたる同命令を受けるのは2件目。いずれもNTT2社が受けている。総務省も同日、2社に改善を指導した。
ひかり電話の料金体系をめぐっては、年配の利用者などから「制度や条件が分かりにくい」といった苦情や意見があった。06年度以降に配布や掲載された2社の約4千種類のチラシと広告を公取委が調べたところ、約3分の1で、必要な代金の記載がなかったり、総額が不明瞭(めいりょう)だったりする不当表示があったという。
調べでは、ひかり電話を使うためにはまず「フレッツ・光」と呼ばれる同社の光ファイバー回線の通信利用料(月額2625〜5460円)が必要で、さらに電話の基本利用料525円がかかる。一部の広告では、この回線利用料を記載せず、固定電話の基本利用料1680円と525円だけを比較し「ひかり電話の方が安い」などと表示した。
加えてNTT東日本は、ルーターと呼ばれる、光ファイバー回線から電話機やパソコンに分配する機器の利用料が、月額で525円必要なことを、一部の広告で記載しなかった。
また新聞広告で、通話料金を「全国一律3分ごとに8.4円」と表示、ひかり電話と携帯電話間の通話では割高になる仕組みには触れなかったり、記載があっても不明瞭だったりした。
公取委の調査開始を受けて、社内に広告物の審査組織を設置したというNTT2社は「お客様に多大なるご迷惑をかけておわび申し上げます」とコメントしている。(高田英)