無残に土俵に転がった琴欧洲。綱の夢はあっさりと消えた |
大関・琴欧洲の綱獲りが早くも消滅した。大相撲名古屋場所3日目(15日、愛知県体育館)で琴欧洲は、過去3連敗と苦手にしていた小結・豊ノ島に左すくい投げで敗れ、3日目で2敗。「14勝以上での優勝」とされていた横綱への昇進ノルマをクリアすることができなかった。1横綱2大関を撃破した豊ノ島のほか、白鵬、琴光喜、安馬、旭天鵬、栃煌山の6人が3戦全勝となった。
夢破れた大関は、何も語ろうとはしなかった。質問に対し、目を閉じたまま無言。帰りの車に乗り込むまで、言葉を発する意思すら示さなかった。あまりに早い綱獲り失敗。全身からショックを漂わせる琴欧洲の姿は痛々しいほどだった。
3連敗中の豊ノ島に対し、立ち合いで右上手を取った。しかし、上手が切れてもろ差しを許すと、身長で33センチも低い相手に攻め手を失った。両腕をきめて前に出て、左からすくい投げを食った。「3日目で2敗というのは厳しい目で見られて当然だ。本人は余裕がないかもしれないが、先場所の優勝を生かすためにも(来場所に)生かすことが大事」。悪すぎる相撲内容に、北の湖理事長(元横綱)も今場所の挑戦終了を明言した。
傷心の大関を朝青龍も突き放した。初日に同じ豊ノ島に敗れ、土俵入り前に「差されてもいいから、まわしを取れ」と助言したが、展開は正反対だった。「オレだったら“いらっしゃーい”だよ」と相手を呼び込む格好をした横綱は「同じ者に4連敗。上の者として情けないな」とバッサリ。先場所終了後、角界最高位として琴欧洲の前に立ちふさがることを宣言したが、“カベ”になる前の終戦。土俵の盛り上げを期待していたからこそ言葉も厳しくなった。
場所前からナーバスになる弟子を公私にわたりサポートしてきた師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)も「綱獲りなんて意識はしていなかった。“いい相撲を取れよ”と言っていただけ」と、既にあきらめたような口ぶり。このまま沈んでいくのか、それとも来場所へつなげるのか。大きな目標が消えた残り12日間で琴欧洲の真価が問われる。
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