川崎・宮前区の通り魔：「責任回避は卑劣」懲役１０年判決−−地裁支部　／神奈川

　◇被告は目線落とし
　「人の生命を一顧だにしない」「被害者をあざ笑うかのような責任回避」。無罪を主張した住所不定の無職、鈴木洋一被告（２７）に対し、判決は非難の言葉を並べた。川崎市宮前区の路上殺人未遂事件。横浜地裁川崎支部の加登屋健治裁判長は１４日、弁護側主張をことごとく退けた。
　鈴木被告は耳が隠れるほど伸びていた髪を刈り上げ、白いポロシャツと黒ジャージー姿で入廷。「懲役１０年」と実刑を告げられると、目線を落とし力無く被告人席に戻った。
　女性会社員が背後から刺された事件の直後に、目撃したと宮前署に名乗り出て「助けに入って負傷した」と主張した鈴木被告。しかし判決は「極めて不自然、不合理」と一蹴（いっしゅう）、むしろ「捜査のかく乱を試みており、責任回避の態度は卑劣。再犯の恐れも否定できない」と断じた。
　傍聴した被害者の夫（４２）は判決について「短い。（弁護側主張は）でたらめばかり」と怒った。一方、主任弁護人の前田裕司弁護士は被告と近く接見するとしつつ「控訴する意向がある」との見方を示した。【山衛守剛、中島和哉】

７月１５日朝刊