川崎市宮前区の路上で昨年4月、会社員の女性=当時(40)=が刺され、重傷を負った通り魔事件で、殺人未遂罪に問われた無職、鈴木洋一被告(27)の判決公判が14日、横浜地裁川崎支部で開かれ、加登屋健治裁判長は懲役10年(求刑懲役15年)を言い渡した。弁護側は控訴する方針。
鈴木被告は事件後、「女性が男に襲われそうになっていたので、助けた」などと事件の目撃者として宮前署に出頭。その後、逮捕され、公判でも一貫して無罪を主張していた。
加登屋裁判長は、犯行現場にいたのは女性と鈴木被告のみ▽鈴木被告が履いていた靴に、女性のDNAと一致する血痕が付着していたとする鑑定結果は信用できる▽出頭時の供述は不自然、不合理−などから「合理的な疑いを差し挟む余地はない」と判断。その上で、「犯行様態は一片の憐憫(れんびん)の情すらもうかがわれない残虐なもの」と断じた。
判決などによると、鈴木被告は昨年4月5日午後10時25分ごろ、川崎市宮前区の路上で、会社員の女性を包丁のようなもので刺し、全治3カ月のけがを負わせた。
鈴木被告は、丸刈りに、白のポロシャツ、黒のジャージー姿。公判では、うつろな表情で、じっと下をみつめていた。また、女性の夫(42)は「今でも怒りはある。言っていることがでたらめすぎる」と怒りをあらわにした。
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