岡山県漁連が全国に先駆けて一斉休漁に入った。十五日まで出漁を控えるという。燃料油の高騰による漁業者の苦しみを訴えるためだ。
漁船の主燃料の軽油は四年前の一・九倍に値上がりしたのに魚の値段は上がらない。陸運事業者らも燃料高に四苦八苦している。食料も高騰し、アフリカなどでは暴動も起きている。
新興国などの需要増加が背景にあるものの、原油や食料高の重要要因は投機資金の流入だ。株が投機資金で上がっても怒る人は思い当たらないが、原油や食料は違う。生活を脅かされ反発する人が多数いる。この点は株と大きく異なる。
先の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)では各国首脳が集いながら有効な対策を打ち出せなかった。しかし、苦しみをこれ以上放置することはできない。各国協力し、何とか策を講じなければ。
日本のバブル期に大手銀行員だった箭内昇さんは、著書「メガバンクの誤算」の中で当時の自分たちを、状況の変化に気付けない「熱湯ガエル」に例えている。ぬるま湯につかっていたらいつの間にか熱湯に変わり、「飛び出せないまま死んでしまった」と。
実際の需要に見合っていないバブルは、いつかはじけるというのが歴史の教訓だ。原油や食料市場で、再び「熱湯ガエル」現象は起きないか。