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Lisaさんからコメントもらったので、先日研修医に話したことを書いて見ます。
端的には、自分の実働年数から逆算してプランを練らないといけないです。
あなたが40過ぎなら迷わず都市部から車で1時間圏内の精神病院がおすすめ。
それも医者が少なくて、病棟が古びてるところ。
今療養病棟を削減するとか、病床を削るとかいろんな話がありますが、
たぶん、まだこれから20年くらいは今の古い精神病院は生き残ります。
認知症が精神科入院からはずされたりいろいろあって
もしかしたら福祉系の施設に一部様変わりするかもしれないけど、
実際問題、何十年も入院していて行き場のない患者さん達はまだたくさんいて、
彼らが生きてる間は管理する環境や人手が必要ですから。
ただ、医療というより管理業務に近い部分があって、
医者としてかえって辛い部分もあるかと思いますが、高給。
内心、9時~5時で僕の1.5倍給料をもらう人たちが
(2倍だったら絶対怒る)うらやましくて仕方ないんだけど、
ああいうところもやっぱり適性のある人じゃないと勤まらないです。
結婚して家庭を大事にしたくて、仕事外の時間を充実させたいときには
まじおすすめ。僕もあと5年くらい頑張って
油ッ気が抜けたらそういうところで静かに余生を過ごしたい。
で、問題は今の研修医の世代。20歳~30歳台のドクター。
たぶんこの20年で状況は劇的に変わります。
端的には、急性期、児童思春期、うつの自殺関連、身体合併症
このどこかを齧ってないと状況に対応できなくなる可能性があります。
それ以外はたぶん金がついてこないですから。
もちろん統合失調症は変わらず数がいるだろうけど、
病気自体一昔前と比べて変質してきている気がしますし、
それらはほとんど全て急性期でまかなわれてしまうと思います。
だから、20年して社会的入院とされていた人たちの
大部分がお亡くなりなるころ、そういう慢性期を見る土壌というか
パイそのものがすごく小さくなっているはず。
金は上の4つの部分にしかついてこないはず。
だから、20台のドクターは普通の精神病院に就職して、
慢性期を中心に見るのはやめたほうがいい。
急性期のリズムを知って、慢性期をやることは出来ても、
慢性期を10年やった人は、急性期のリズムで動くとうつになります。
だから女医さんで、60くらいまで働きたいと思っているなら、
子どもを生む前に急性期の回し方を体感しておいたほうがいいと思う。
今30前で結婚して50くらいでリタイアしていいやと思うなら
先に書いたようなところは素敵ですよ。
あと、児童思春期については、この個性化時代、
患者は増えることがあってもへることはないと思います。
少子化といっても、その中でのメンタルな問題を抱える子どもの
パーセンテージはうなぎのぼりになっているはず。
その気になって開拓すれば、冗談抜きで患者数は今の2倍にも3倍にも増えるはず。
ただ、研修をどこでするかの問題は大きいですね。
僕の知る限り児童精神科医というやつは、今2つのタイプに大別できます。
神経症圏が好きなタイプと発達障害圏が好きなタイプ。
習うなら絶対に前者がいい。
発達障害大好きドクターは児童思春期といいつつ、
それが隠れ蓑になって大人が診れない人が多いんです。
大人が診れない児童精神科医って、
「患者をちゃんとした大人にする」ことが目標じゃなくて
「患者を幸せな子どもにする」が目標になっちゃう人だから
絶対に長いスパンで見ると、後者の治療は必ず歪んでいます。
前者の立場に立つ人に学ぶべき。でないと、基本問題は解けても
応用問題が解けなくなってしまうと思います。ただ、今は児童の働き場所があまりないですね。民間はきびしいですし。
でもこれから変わってくる可能性大ですし、公的なポストを
たくさん持っているところで研修すれば問題なく食っていけます。
そういう意味で研修場所を選んで人脈を創るのが大切かと。
あと、ここから先は妄想ですので、流してもらっていいです。
僕はクリニックも含めて、これから10年で新しい
ビジネスモデルが出てくるんじゃないかなと思っています。
混合診療が本当に世の中に浸透していくのか、僕は懐疑的です。
やっぱり精神医療は厚生省と薬屋さんの意向で動いていくと思います。薬屋さんが今の強さを維持するのであれば、
うつ病キャンペーンは続くでしょうし、さらに次の一手として
健常者と患者さんの中間層の開拓を進めて
「成人の発達障害」向けの薬とか、「治療の薬」ではなく、
「支える薬」が出てくるんだと思います。
これだけ日本がアメリカナイズされ、アメリカ的な雇用形態を導入し、
グローバルな価値観が幅を利かせるようになっていますので、
言い方を変えると、金で全てが計られるようになっていますので、
さらにいうと、経済成長がほとんど頭打ちになった以上、
みんながそれぞれの価値観、それぞれの自己実現の夢を描く方向に
世の中動かないといけないのに、なぜか実際は真逆に進んでいますので、
精神医療の需要は間違いなく続くし増えていくと思います。
誰かに支えられないとみんな生きているのがきつくなってきていますから。
アメリカの金持ちはその支えをバカ高いカウンセリングでまかないますが、
アメリカの貧乏な人は薬で管理されたりしています。
だからたぶん日本は薬。
その薬の位置づけが治療から支えへと少しずつ変わっていく。
だからどんどん出てくる新しい薬の使い方のトレーニングが
きっちり出来る急性期病棟で経験はつんだほうがいいです。
僕が研修医に話しているのはそんなところです。
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コメント
コメント一覧
わたしは、地方の大学の精神科医局に所属していた事があるのですが、たしかに精神科の場合、勤める病院の立ち位置によって、患者さんの層が大きく異なっているような気がします。郊外にある精神科単科の療養を中心とした病院、精神科単科で積極的に急性期を引き受けている病院、総合病院の精神科で精神科病棟がある病院、無い病院、都市部のクリニック、などかな?それぞれ要求される知識やスキルが違ってくるので、後輩には一通り経験してみて自分にあったスタイルを見つけ出すようにアドバイスしているんですが、これらを一通り経験できるような研修先って、あまり選択肢が無いんですよね。
あとは、思い切って海外で研修というのもいいかもしれませんよ。最近、アメリカで精神科レジデントをされている方にお話をうかがったのですが、ご苦労はあるようですが、充実した研修をされているようでした。
コメントありがとうございます。
そうか!アメリカでレジデントという道がありますね。
いや、いろんな意味でこれからのことを考えると最強の選択肢かもしれませんね。なるほど・・・
私は今26歳で、来年あたり結婚を考えています。しばらくは常勤で頑張って、いずれは家庭と両立して非常勤で働ける方法があればなぁなどと考えています。まずは、急性期を扱う単科病院や、児童を専門に診る病院で学ぶと良さそうですね。
ところで最近、他科ではかなり医局崩壊が進んでいて、個別の病院とレジデント契約を結ぶ人も多くなりました。精神科において、大学医局に属するか否かはまだ大事でしょうか?
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