東京大学医科学研究所(東京都港区)の東条有伸教授(分子療法分野)らが同研究所の倫理審査委員会の承認を経ないまま論文発表を繰り返していたことが11日、分かった。患者から採取した血液の取り扱いにも不備があった。同研究所は「厚生労働省が定めた倫理指針に反していた」として調査を始めた。
同研究所は同日、清木元治所長らが記者会見し「不適切な取り扱いがあった。患者やご家族におわびしたい」と謝罪した。
東条教授は白血病やリンパ腫など治療が難しい血液がんの治療法を開発する同研究所分子療法分野のトップ。同研究所によると、同教授らは患者から血液を採取し、血液中の腫瘍(しゅよう)細胞を使った研究を実施。その際、患者からの同意を得ず、倫理審査委員会の審査を申請しないまま論文を発表していた。(11日 15:45)