会見する東大医科研の清木元治所長(左)ら幹部=11日午前、東京都港区、林敏行撮影
医学論文で研究倫理をめぐる虚偽記載が明らかになった東京大学医科学研究所(東京都港区)は11日午前11時から記者会見を開いた。
清木元治所長ら医科研幹部のほか、東大の浜田純一副学長が出席。冒頭、清木所長が「患者様とご家族に対し、大変なご迷惑とご心配をおかけしましたことを心よりおわびします。教員が社会の信頼を裏切る行為をしたのは、誠に遺憾です」と謝罪し、今後、不正に関与した関係者の処分を検討していることを明らかにした。
医科研は、朝日新聞が虚偽記載の疑いを指摘した5本の論文について、これまで内部調査委員会で事実関係の解明を進めてきたが、この日、これを有識者を交えた外部調査委員会に切り替えたという。今回の問題が生じた原因について、清木所長は会見で「病気の治療を目的とする検査と、研究を目的とする検査の相違に対する意識の欠如があった。研究倫理に関する見識の低さが招いた結果で、社会的にも許容されない」と語った。そのうえで、血液など検体を使うことへの同意書が確認できなかった患者と家族に対し、経緯の説明と謝罪を始めていることを明らかにした。
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東大医科研の研究者らが発表した論文で研究倫理をめぐる虚偽記載が繰り返されていた問題について、渡海文部科学相は11日の閣議後会見で「東京大はもっとしっかり調査してほしい。事実関係がいまだにはっきりしていないのはきわめて遺憾だ」と述べた。