【ワシントン=有元隆志】米軍高官は14日までに、航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)について、米英などが開発中のF35ライトニングIIに関する情報提供を日本政府が正式に求めてくるとの見通しを明らかにした。これまで「本命視」されてきた最新鋭ステルス戦闘機F22Aラプターは、米議会によって海外への輸出が禁止されていることから、日本側が取得を事実上断念するとの見方を示したといえる。
F35計画の責任者であるチャールズ・デービス空軍少将はこのほど、ロイター通信に対し、日本政府が年内にF35の価格などに関する情報提供を正式に求めてくるとの見通しを示した。米政府関係者も11月に行われる米議会選挙で、民主党が再び議会多数を占めるだろうとし、その場合「F22の輸出禁止条項は継続される」と述べた。
日本政府はこれまで久間章生防衛相(当時)らがゲーツ国防長官らに対し、F22に関する情報提供を求めてきたが、米側は輸出禁止条項を理由に日本側の求めに応じていない。
F35はF22同様、世界でも最新の高性能戦闘機で、いわゆる「5世代機」と呼ばれている。F22が海外への輸出を禁止されているのに対し、F35は当初から、英国をはじめ海外輸出も想定して開発してきた。デービス少将によると、これまで開発に協力している8カ国に加え、シンガポール、イスラエル、スペインが関心を示しているという。
FXの選定対象に絞り込んだなかにも、F22とともにF35も含まれていた。ただ、まだ開発中で生産には至っていないため、未知数な部分もある。日本側には米側がF22に関する情報提供を拒否してきたことに反発もあった。
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