研修医を受け入れる指定を国から受けた県内の28病院で、募集数に対する受け入れ数を示す「充足率」が本年度、53・9%にとどまり、うち7病院は研修医が1人もいないことが14日、信濃毎日新聞社の調べで分かった。医師が少ないことなどから「自分が望む研修が受けられない」として、医学生が敬遠する例が多いとみられる。研修医不在の病院からは、今後の医師不足につながる恐れを心配する声が出ている。
県内28病院が受け入れた研修医は、計204人の募集に対し、4月1日現在で計110人。4月の全国の平均充足率の69・4%を下回り、東京(86・7%)とは大きく差が開いている。
研修医がいない7病院は中信3、南信2、東信1、北信1。1年目の研修医がいないのは10病院、2年目がいないのは9病院に上った。充足率100%は6病院だった。
医学生は、研修先として複数の病院を希望。財団法人が仲立ちとなって病院との希望を結び付ける「マッチング」で研修先が決まる。ただ、病床数や入院患者などを基に算出される全体の募集数が、医学生の数を上回る「売り手市場」になっており、医学生の希望が大きく左右しているのが現状だ。
研修医がいない県内の病院の担当者は「指導する医師や症例数が少ない地方病院は、学生にアピールするのに限界がある。研修医が選ばない病院は将来の職場として選択される可能性も低く、東京や県内の大規模病院との差はますます開く」と懸念している。