ようやくデスク業務から解放された筆者(岩本太郎氏)が気晴らしに大通公園を散策していたところ、拡声器で「G8反対!」を訴える声が。
やっぱりそういう人もいるよなあ・・・・・・と思いながら近寄っていったら、何と民族派右翼団体「一水会」(本部:東京)代表で、『朝まで生テレビ』などへの出演でもお馴染みの木村三浩氏ではないか!
あの新右翼の重鎮が、街宣車にも乗らず、支持者らしきわずか数名の方々と共にビラを撒きつつ、しかも作務衣にセッタという粋な出で立ちで道行く人々に語りかけるなどという場面に偶然遭遇できるとは! 持参のデジカメ&デジカムでさっそく撮影(後ほど映像もG8MNビデオ班のほうからアップしてもらえると思います)。
一般的にはおそらく「右翼」といえば「体制寄り」のイメージが強いのだろうし、「え、右翼はG8支持の方なんじゃないの?」といぶかる人も多いに違いない。
しかし実際の右翼の人たち(と一括りにするのは必ずしも適切ではないが)は自分たちのことを本質的に「反体制」の存在と捉えているようだ。
特に「反米愛国」の立場をとる一水会はそうした姿勢が濃厚で、木村さんも過去には池子米軍住宅建設反対運動に参画したほか、イラク戦争開戦前にはイラクに渡ってサダム・フセイン大統領(当時)に会見するなど「民族派の国際連帯」の構築に尽力。イラク戦争後も一貫してアメリカおよびブッシュ政権の「戦争犯罪」を強く批判している。
そんなわけで、この日の大通公園での「辻説法」でも、「G8開催」に反対する理由として、まずは「アメリカ批判」「ブッシュ批判」を挙げ、
「あのような殺人行為を行いながら何ら裁かれず、アメリカ大統領の地位をインチキな大統領選挙で守りぬいた男が、環境問題や格差問題を語り合う洞爺湖サミットに出席するなど『恥を知れ!』と。そんな戦争犯罪人の輩がサミットにやってきて未来の扉を開くならば、未来は混沌とした血に塗られた世界でしかありえない!と思うわけであります」
と熱く持論を展開。さらには
「決してマスコミによるサミット礼賛の情報操作・宣伝に騙されないでいただきたい。サミットはこれまで何度も行われてきたものの、肝心な問題は何も解決することなく、単に先進国の首脳たちが集まってシャンパンを飲んだり美味いものを食べるだけのダンスパーティと化してしまっているのが実態です」
「確かに環境問題、格差問題について世界中で議論することは必要ですが、ならばこそ、そこに参加する者たちの資格や気概、実行力は厳しく問われるべきです」
と主張。このあたりは多くの「反G8」関係者とも共通する思いではなかろうか。
もっとも、木村さんは一方で「単に反対反対と叫ぶだけの運動ではダメだ」との批判にも「その通りです」と率直に認める姿勢をとる。そのうえで彼が提唱するのが「民族派サミット」の開催だ。
「宗教者サミットやNGOサミットもあるのだから、民族派サミットがあるべきだ」と木村さんは言う。イラクなど大国の暴力に虐げられてきた民族の問題に取り組んできた自分たち「民族派」が国境を越えて連帯することで、様々な問題の解決にあたることができるのではないか。しかも北海道は昔から先住民族であるアイヌの問題を抱えている土地であり、そこにこそ我々民族派の出番がある――との提言には確かに説得力がある。
が、そうした「民族派サミット」がなぜ今回はできなかったのか? との問いには「いや、ちょっと準備不足で」と苦笑する木村さんだったが、いずれ再び日本でサミットが開催される時には「生きていたら必ずやります」と明快に言い切ってくれた。8年後(?)が楽しみだが、その前に、木村さんたちはまだ数日は北海道で活動するとのことなので、これから本格化するサミット期間の内にも精力的な活動が期待されるところだ。
(岩本太郎)
当記事はG8メディアネットワークの著作権ルールに基づいて転載しています。(編集部)
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