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【主張】内閣支持率 首相の外交理念が見えぬ
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査で、福田内閣の支持率は21・7%と約1カ月前の前回調査(22・0%)と同水準にとどまった。
主要国首脳会議を終え、内閣改造を考慮している福田康夫首相は、今後の政権運営にあたり、厳しい調査結果を真摯(しんし)に受け止めてほしい。
調査では首相の指導力不足が改めて浮き彫りとなり、外交面の評価の悪化が顕著である。拉致、北方領土など国民の生命財産や国家主権をめぐる問題に対処する姿勢が明確でない。そういう国民の批判が表れているのは明らかだ。
外交・内政を通じて、首相はその理念や意思をメリハリをつけて明確に示さなくてはならない。
世論調査では、サミットでの首相のリーダーシップを7割の人が否定した。外交政策全般についても、3人に2人が評価しないと答えている。
拉致問題の再調査に応じれば経済制裁を緩和するという福田内閣の北朝鮮政策に対しては、「評価しない」が7割を超えた。米国が北朝鮮に対するテロ支援国家指定を解除する手続きをとったことも、7割が北朝鮮問題の解決にとって良くないと判断している。日米の相次ぐ融和路線に世論が厳しい視線を向けているといえる。
ブッシュ大統領との日米首脳会談で、拉致をめぐる今後の日米協力について具体的な方向性は示されなかった。北方領土問題解決への決意を共有したという日露首脳会談で、首相は返還への強い意思を表明したのだろうか。懸案に全力で向き合おうとする首相の肉声が聞こえてこない。
日本が国連安保理の常任理事国入りすることには、8割近くが賛同している。国際社会で日本が責任ある役割を果たすべきだという世論は支配的となっている。
福田首相は安倍晋三前首相や小泉純一郎元首相に比べ、国家主権や自由と民主主義の価値観について、確固たる信念を示す場面が少なすぎる。派手なパフォーマンスを避ける首相は、前任者らとの比較を嫌うが、問題は手法ではなく本質的な政治理念の違い、あるいは欠如にある。
国政の停滞を内閣改造で打開してほしいという声が増えているのは事実だ。その場合、首相が優先課題や対処方針を明らかにし、その実現にふさわしい体制をとることが不可欠だ。