2時間20分の間、身じろぎもできない緊張を観客に強いる、激しくも美しい芝居だった。
唾を飲み込む音すら容易には立てられない。
劇評家ではないので、軽々しいことは言えないが、あえて書く。唾を飲み込む音すら容易には立てられない。
テーマは肉親と血の物語。
中でも最も濃く問題的な内容が、真っ向から取り扱われている。
中でも最も濃く問題的な内容が、真っ向から取り扱われている。
二組が同じ舞台を共有してのクロスフェード的な演出や、現実と回想、加えて想像と妄想のシーンなどが、シームレスに織りなされる。
判りやすいシンボルなどは易々とサービスされないので、集中力と想像力とで補い、ついて行くのが観客の責任であり、解釈力だ。
長塚氏の脚本は緻密であり、初めから答がある。
それゆえ、無責任に解釈を観客に強いるような袋小路に招き込まれることはない。
あり得ないと思っていたはずの設定が、煮詰め上げられた挙げ句に析出される一種の結晶のように、作者にとってはそれしかありえなかったミニマムな相関図なのだと、納得させられる。
そしてそこで展開されているドラマが、実は生々しい、現実世界でも起こりうる事件なのだと気づかされ、慄然とする。
それにしても、この題材を描くには相当の勇気が要ったはずだ。「いろいろ勉強もしましてね」と、上演後の楽屋でご挨拶させていただいた長塚氏は、言葉少なながらそう洩らしていた。
素晴らしい熱演で魅せてくれた松たか子さんにも、間近でお目に掛かることができた。
当然ながら、驚くほど可憐で美しかった。
兄・染五郎さんが「大丈夫なの?」と気遣っていたのは、演出上のあるスペクタクルを指してのことだと思う。
当然ながら、驚くほど可憐で美しかった。
兄・染五郎さんが「大丈夫なの?」と気遣っていたのは、演出上のあるスペクタクルを指してのことだと思う。
長塚さんは9月から英国へ留学されるそうだが、この先どんなことを学ばれて、それを表現に結びつけていくのか、興味津々である。