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大野晋さん死去:国語教育、鋭く批判 日本語起源研究に異論も

 独創的な国語研究で知られた大野晋・学習院大名誉教授が14日、死去した。古典に関する著書だけでなく、大ベストセラー「日本語練習帳」などで、最も一般に知られた国語学者の一人だった。国語教育などでの発言も積極的で多彩な活躍をしたが、日本語の起源の研究は、学界に否定的な反応も少なくなかった。

 「日本語練習帳」は、誰もが知っている言葉について質問を出し、読者の理解が、いかに不確かなものかを気付かせる手法が、驚きをもって迎えられた。また、「読む力」が軽視されている、と近年の国語教育を鋭く批判した。

 一方、部落差別に基づく冤罪(えんざい)事件として問題になった狭山事件では79年、脅迫状が石川一雄被告(当時)のものではないと鑑定し、被告の再審を訴えた。

 タミル語を日本語の起源の一つとする説は、週刊誌などで一般に広がったが、学界では「タミル語の音韻法則を無視している」などと批判を呼んだ。しかし、晩年も「100年くらい後に正しさが理解される」と、自信を持っていた。【鈴木英生】

毎日新聞 2008年7月14日 東京夕刊

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