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世界で初めてイネのヒ素吸収メカニズムを解明 岡山大
イネの水耕栽培に使われる地下水に含まれるヒ素が、イネにとって有益なケイ素の吸収システムを介して根に取り込まれていることを、岡山大学資源生物科学研究所の馬建鋒教授らの研究グループが、世界で初めて解明した。
バングラデシュやインド・ベンガル地方など南アジアではヒ素による健康被害が深刻化しており、馬教授は「病原菌や害虫に防護的な役割を果たすケイ素だけを吸収するイネの開発の手がかりになる」としている。
15日発行の総合学術雑誌「米国科学アカデミー紀要」に発表した。
イネが栽培される灌水下(水中)では、ヒ素は亜ヒ酸、ケイ素はケイ酸の化合物になる。
馬教授らのグループは、イネが持つケイ酸を運ぶタンパク質(Lsi)が、亜ヒ酸のものと似ていることに着目。Lsiの働きを阻害すると、ケイ酸と同時に亜ヒ酸も取り込みにくくなることを突き止めた。
慢性毒性などを引き起こすヒ素被害は、世界各地で4000万人にのぼると言われている。
馬教授は「今後、イネのケイ素の吸収システムを変えることで、選択的にケイ素のみを取り込むイネの開発が期待できる」と話している。