景気はギリギリ踏ん張っている=大田担当相
[東京 14日 ロイター] 大田弘子経済財政担当相は14日、月例経済報告関係閣僚会議後の会見で「景気回復は足踏み状態にあるが、このところ一部に弱い動きが見られる」と同報告の基調判断を前月から据え置いたことについて、「景気はギリギリ横ばいで踏ん張っている。踊り場との判断は変えるに至っていない」との認識を示した。
同時に物価については「需要増ではなくコストの上昇で上がっている面が大きく、十分警戒が必要」との懸念を示した。 先行きのリスクについて、米経済の減速が後退に至れば日本の輸出に影響が出ることや、資源高により企業収益が圧迫され、設備投資や消費に影響することも大きな懸念材料だと述べた。
大田担当相は、米経済が持ち直せば日本経済も回復してくるとしながらも「米国景気動向について景気後退懸念や、株価動向、原油動向など、どれも予断を許さない状況であり、景気の下振れリスクが高まっている」と指摘。米国では住宅価格の下落が止まらないことが最大のリスクであり、今のところ減税効果が出てきているものの、民間調査機関ではその後にもう一段の景気悪化が予想されているとした。その上で「米景気減速は長引く危険性が高まっている」と述べた。
同会議で渡辺喜美金融担当相から、世界の金融市場は金融危機に近い状況であり、米政府系住宅金融機関(GSE)に対する支援策が打ち出されたものの、公的資金の投入が避けられないかもしれないとの見方や、大手米銀の決算が発表されたら日本が最後の貸し手となる可能性もあり、対応策を検討しておく必要があるとの意見が出たと報告。
国内消費動向について、身近な商品の値上げが短期間に起こっているためにマインドは急速に悪化しているが、所得環境は横ばいであり、消費者物価の水準はまだ非常に高いということはないため、消費の実態は大幅に悪化しているところまではいたっていないとの認識を示した。ただ、7月以降の値上げ商品が多く、十分に注意していきたいと述べた。
(ロイター日本語ニュース 中川泉記者;編集 田巻 一彦)
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