西日本から北陸、東北南部までの広範囲で今年初めての黄砂が観測された。3日の九州各地の視界は鹿児島県種子島で1.9キロ、長崎、熊本両市で3キロ、福岡、鹿児島両市で5キロまで落ち、黄砂混じりの雨が街や車を白く汚した。近年は、この黄砂に付着した化学物質などの「越境汚染」が問題となり、花粉症悪化の一因との指摘もある。黄砂は4月にピークを迎え、初夏まで続くことから、専門家は健康被害への注意を呼び掛けている。
福岡管区気象台によると、今回の黄砂は中国のゴビ砂漠で吹き上げられた砂じんが低気圧や偏西風に運ばれてきた。東日本や奄美・沖縄地方では4日も、黄砂が予想されるという。
中国では過剰な放牧や農地転換などで砂漠化が進み、1990年代までは40日を超えることはまれだった日本での黄砂の観測日数が、2000年以降は年間40‐50日に増加。飛来する黄砂の量は「年間100万トン以上」(国立環境研究所)と試算されている。
黄砂には、発生地の砂漠で細菌やカビ、農業地帯で農薬、工業地帯で化学物質などが付着し、国境を越えてくる。昨年5月には、北部九州を中心に、離島など広い範囲で光化学スモッグ注意報が出され、黄砂との関連性が疑われた。
黄砂の分析を続けている長崎県環境保健研究センターによると、酸性雨の原因となる硫酸イオンなどの化学物質やジクロルボスなどの農薬類も検出されるという。環境への影響のほか、高藤愛郁(あいか)研究員は「免疫力が低下した人や気管支が弱い人が黄砂の粒子を吸い込むと健康被害の恐れもある」と警鐘を鳴らす。
花粉症との関連性を指摘する研究もある。大分県立看護科学大学の市瀬孝道教授(環境毒性学)は「黄砂と花粉を一緒に吸うと花粉症が悪化する恐れがある。黄砂に含まれる二酸化ケイ素(石英など)は肺に入ると炎症を起こし、付着した細菌やカビはアレルギーを引き起こす可能性もある」と指摘。花粉症用のマスクなどでの自衛を呼び掛けている。
=2008/03/04付 西日本新聞朝刊=
福岡管区気象台によると、今回の黄砂は中国のゴビ砂漠で吹き上げられた砂じんが低気圧や偏西風に運ばれてきた。東日本や奄美・沖縄地方では4日も、黄砂が予想されるという。
中国では過剰な放牧や農地転換などで砂漠化が進み、1990年代までは40日を超えることはまれだった日本での黄砂の観測日数が、2000年以降は年間40‐50日に増加。飛来する黄砂の量は「年間100万トン以上」(国立環境研究所)と試算されている。
黄砂には、発生地の砂漠で細菌やカビ、農業地帯で農薬、工業地帯で化学物質などが付着し、国境を越えてくる。昨年5月には、北部九州を中心に、離島など広い範囲で光化学スモッグ注意報が出され、黄砂との関連性が疑われた。
黄砂の分析を続けている長崎県環境保健研究センターによると、酸性雨の原因となる硫酸イオンなどの化学物質やジクロルボスなどの農薬類も検出されるという。環境への影響のほか、高藤愛郁(あいか)研究員は「免疫力が低下した人や気管支が弱い人が黄砂の粒子を吸い込むと健康被害の恐れもある」と警鐘を鳴らす。
花粉症との関連性を指摘する研究もある。大分県立看護科学大学の市瀬孝道教授(環境毒性学)は「黄砂と花粉を一緒に吸うと花粉症が悪化する恐れがある。黄砂に含まれる二酸化ケイ素(石英など)は肺に入ると炎症を起こし、付着した細菌やカビはアレルギーを引き起こす可能性もある」と指摘。花粉症用のマスクなどでの自衛を呼び掛けている。
=2008/03/04付 西日本新聞朝刊=