藤山直美『元禄めおと合戦』
笑いさく裂。直美のしっかり女房 7月3日から27日 中日劇場
【社会】鉄道自殺が急増 影響深刻、踏みとどまって2008年7月14日 夕刊 鉄道で自殺する人が増えている。2007年度は前年度に比べ、名古屋鉄道が2倍、JR東海や名古屋市営地下鉄が1・5倍。全国の自殺者が10年連続で3万人を超える中、全国的に同じ傾向とみられる。増加の理由は不明だが、鉄道会社は利用者や残された家族に大きな損害を与える行為の未然防止に苦慮している。 名古屋鉄道は07年度、自殺者が近年で最多の41人に上った。本年度も既に8人。JR東海は07年度で30人。今月8日には東海道新幹線米原駅(滋賀県米原市)で男性がホームから線路に下り、通過する列車に飛び込んだ。新幹線12本が運休し、8万5000人に影響した。 名鉄によると、事件の可能性を調べる警察の現場検証が終わるまで列車は平均で1時間以上、現場から動けない。中部国際空港に向かう常滑線では特に利用者への影響が大きく、車両の破損、乗客を代行バスに振り替える費用などで損害は数百万円に上る。 新幹線の場合、特急料金の払い戻しや臨時の人件費などで数千万円の損害が出ることも。鉄道各社は基本的に損害を遺族らに請求し「場合によっては法的手続きを取る」(JR東海)。このため遺族側は、家族を失った心の傷に加え、多大な経済的負担を背負うことになるという。 運転士への影響も深刻だ。線路で人を見つけても、非常ブレーキをかけて「どいてくれ」と祈るしかない。遺体の確認作業などによる精神的ショックで辞めた運転士もいる。 鉄道による自殺が増える背景について、自殺防止の相談を受ける「愛知いのちの電話」の加藤省吾事務局長は「普段から利用し、身近にあるのも一因ではないか」とみる。「受話器から、踏切や電車の音が聞こえると、まずその場を離れるよう説得します」 自殺防止策として、JR東海は新幹線のドアコックを走行中、作動しないよう改良するなど試行錯誤を重ねる。名古屋市は「地下鉄のホーム全体に可動扉を設けることが最善」とするが費用がかかるため実現していない。 ■江口昇勇(のりお)・愛知学院大教授(臨床心理学)の話 多方面に影響を与える鉄道自殺を選ぶ背景には、自分の存在を何とか知ってもらいたいとの思いがあるのではないか。ただ、方法にかかわらず自殺は防がねばならない。悩みを抱える人たちには、その存在が大切なんだというメッセージを、社会としてきちんと発信する必要がある。
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