123億光年かなたに、私たちの天の川銀河と比べて数百倍の速さで次々と星を生み出す「モンスター銀河」があることを、愛媛大学や米カリフォルニア工科大学などのチームが見つけ、天体物理学ジャーナル誌に11日発表する。
モンスター銀河は活発に星を生み出し、「星々の生成工場」とも呼ばれる。ハワイにある国立天文台すばる望遠鏡と米航空宇宙局(NASA)のハッブル宇宙望遠鏡がろくぶんぎ座方向にモンスター銀河を発見。NASAのスピッツァー宇宙望遠鏡などで詳しく観測、計算した。
その結果、年に約4千個の星が作り出されていることがわかった。年に10個程度の星が生まれる天の川銀河に比べて数百倍のハイスピードだ。約5千万年後には、天の川銀河より大きな銀河に育つと推定された。
今まで知られていた最も遠いモンスター銀河は約110億光年だったが、今回は123億光年。宇宙の年齢は137億年とされるので、宇宙誕生の14億年後にはすでに生まれていたことになる。小さな赤ちゃん銀河が徐々に合体しながら、大きな銀河に成長したという従来の銀河形成理論と相反する発見になった。
愛媛大学の谷口義明・宇宙進化研究センター長は「宇宙が生まれて、こんなに早い段階でモンスター銀河ができていたとは思わなかった。暗黒物質やガスの密度には場所ごとに差があり必ずしも均一ではないので、こういうこともありうるのだろう。銀河形成理論の試金石となるような発見と思う」と話している。(久保田裕)