複数の業者から借金を抱え生活に行き詰まる「多重債務者」。その数は全国で200万人を超えるともいわれる。一昨年の貸金業法改正によって「グレーゾーン金利」が撤廃され、貸付の上限金利が引き下げられることになり、消費者金融業者が激減。しかしその一方、地下に潜りヤミ金となる業者が現れるなど違法貸し付けやヤミ金融が暗躍し、借りるあてを失い生活に窮した債務者を様々な手口で狙っている。
ヤミ金がターゲットとする具体的な債務者は、年収200万円前後。一定の収入があり、無理をすれば長期にわたって金利を返済し続けることができる「普通の人たち」。ヤミ金から見れば、確実に利益をもたらす人たちである。こうした人たちをヤミ金の手から救うため、自治体の担当者たちの奔走が始まっている。誰にも相談できずヤミ金に絡め取られている債務者を、いかにして掘り起こすか。そして、多重債務から立ち直った人が再びヤミ金の手に落ちないように、いかに支援していくか。
地方自治体とヤミ金との攻防戦を密着取材し、多重債務問題の実態と解決への糸口を探る。
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