世界の富豪列伝 - 富豪のマネー哲学に学べ!

歴史に名を残した世界の富豪たちは皆、独自の人生観とマネー哲学を持っていました。時代を超えて通用する彼らの叡智に学びましょう。

第5回 ベルナール・アルノー
世界に冠たるブランド群を手中に収めた、フランス一の富豪

2008年7月9日
ベルナール・アルノー

華麗なるブランドビジネスの第一人者

ベルナール・アルノーは、クリスチャン・ディオール、ルイ・ヴィトン、ジバンシー、フェンディ、セリーヌ、ベルルッティ、ダナキャラン、ケンゾーなどなど、世界に冠たる華麗なブランド群を傘下におさめる巨大コングロマリット、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)のCEOです。

スペインの酒造メーカー、モエ・ヘネシーとルイ・ヴィトンが合併したLVMHを1989年に買収後、アルノーは“ドンペリ”で有名なモエ・エ・シャンドンをはじめ、ファッション、革製品、香水、腕時計やジュエリーといった幅広い分野の一流ブランドをグループに取り込んできました。

もちろん、彼自身はフランス一の富豪として知られ、その推定資産は26億ドル、「フォーブス」誌2007年度世界長者番付では14番目にランクされ、「タイム」誌の「世界で最も影響力を持つ100人」にも選ばれています。

若き事業家アルノーの「先見の明」は、伝統を重んじるフランス社会では批判を受けることもありましたが、インターネットの将来性をいち早く見抜いて巨額投資をするなど、フランス経済のあり方を刷新するようなビジネスを展開しています。

アメリカ流ビジネスをフランスに持ち帰った男

フランス北部の裕福な家庭に生まれたアルノーは、温かい家庭の愛に守られて育ち、エリート官僚や企業の幹部候補を輩出する最難関大学であるエコール・ポリテクニークを卒業。家業の建設会社フェレ・サヴィネルに入社します。25歳で社長に就任したアルノーは、みるみるうちに頭角を現し、不動産開発にも事業を拡大していきました。

このころから、アルノーは「ブランド」の重要さに気づいていたといいます。ニューヨークのタクシー運転手が、「フランス大統領の名前は知らないが、クリスチャン・ディオールなら知っている」と語ったことにインスピレーションを得たというエピソードを後年、アルノーは披露しています。このなにげない世間話から、アルノーはフランスのビジネスが持つ大きな力の意味を悟ったのです。

80年代、社会党が政権をとると、アルノーは「自由主義経済に逆行するフランス」を嫌ってニューヨークへ渡ります。結果的に、アメリカでの事業拡大には失敗するものの、アルノーは金融経済やM&Aを学ぶなど、その後のビジネスに不可欠な経営手法を学んだのでした。

帰国後の1984年、国営企業になっていたブサック・サンフレールの買収に乗り出します。目的はこの企業が傘下に持つクリスチャン・ディオールでした。実家の事業すべてを担保にして、その12倍もの規模のターゲットをついに手中にしたアルノーは、勢いに乗ってLVMHの買収にも成功します。

伝統を忘れない革新主義者

建設業、不動産業とはまったく畑違いのファッション界に参入した若干35歳のアルノーは、アングロサクソン型の強引なビジネス手法から、「非情で冷酷な実業家」「カシミヤを着た狼」などと評されることもありました。

しかし、当時まだ注目されることも少なく、株価は安く、相続問題などで不安定になりがちな家族経営が主流だったブランド企業の重要性に目をつける感性の鋭さは、幼いころから芸術や音楽を愛し、伝統的な家族愛に恵まれたゆえだったのです。特にピアノはチャリティーコンサートで小沢征爾指揮のもとモーツァルトのコンチェルトを演奏する腕前といいます。そして、買収のはるか前から、アルノーはクリスチャン・ディオールというブランドを愛していたのだといいます。

一見すると伝統破りでアメリカ流の最新経営手法をふるう際にも、「勝ち目のない分野で競争し破産するより、フランスは得意とする高級ブランド品の分野でリーダーを目指すべきだ」という経済学者の言の通り、アルノーは自らの生活に密着したジャンルを制することを基本にしてきたといえます。

フランス随一の業績を挙げたLVMHは、音楽家の育成支援や数々の美術展の後援、図書館や博物館修復事業にも出資し、芸術と自由をなにより愛するアルノーの心意気を見せています。アルノーはフランス国家功労勲章シュヴァリエを叙勲しました。こうした成果はまさに、豊かな感性と合理的な革新的戦略の賜物といえます。

[参考文献]
長沢伸也『ブランド帝国の素顔』(日経ビジネス文庫)
『ブランド帝国LVMHを創った男 ベルナール・アルノー、語る』聞き手 イヴ・サロヴィッチ (日経BP社)

ここぞという決断の時もある!

長い人生の間には、「いまこそ思い切った決断のときだ」と感じることもあるでしょう。そんなときに、合理的に計算された資金計画=ローンの活用が役に立つこともあります。勇気を持った決断とは、「無謀」とは違います。事前に自らの足元を見直し、情報を仕入れることで、リスクを最小限にしてこそ、活きるものです。目標を見失わず、返済計画を着実にクリアして、決断の果実をおおいに味わってください。

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