|
ここから本文エリア 太陽熱お試しあれ 実演つき講演好評2008年07月10日
北海道洞爺湖サミットの開催で地球温暖化への関心が高まる中、ペットボトルを使った太陽熱温水器の発明家・稲城市の高野達男さん(59)の活動に関心が集まっている。温水器の製作歴は25年以上。3月には市職員を退職し、「太陽熱の伝道師」として普及に取り組み始めた。(永沼仁) 今月上旬、木造2階建ての高野さん宅の屋根に韓国のテレビ局の取材陣が登った。お目当ては、黒いペットボトル80本(160リットル)の並んだ手作り温水器。ボトルの水はホースで1階のふろ場につながっている。 「太陽熱だけで中の水は気温の倍のお湯になります」。高野さんの説明に、アナウンサーが驚いた表情を浮かべる。「節約にもなりますが、CO2を出さずにふろがわくのがうれしいですね」 庭では、アルミ板と段ボールで作ったパラボラアンテナ型の調理器で目玉焼きもつくった。高野さん宅では風力発電や雨水活用も採り入れており、省エネの工夫は「全天候型」。光熱費の約2割を削減できるという。韓国の取材陣も「視聴者の参考になるはず」と感心していた。 高野さんが太陽熱の「研究」を始めたのは81年。日光を浴びたアルミ製のビールたるの中の水が高温になることに気づいてからだった。翌年、そのたるを使って温水器を作ってみた。 96年には材料をペットボトルに替えた。身近で耐久性が高いためだ。つや消しの黒い塗料を塗って塩化ビニールの管と接着。斜めに並べて台座に固定し、温室のようにビニールで覆う。製作費は7万円ほどだが「2年で元がとれる」という。 98年には作り方を記したマニュアル本も出版した。本を参考に、電力不足に悩むアフリカで試作した人もいる。地球温暖化が心配されている最近は、注目される機会が増えてきたという。 「今だからこそ、もっと温水器を普及させたい」。そんな思いに駆られて、定年の1年前の今年3月、同市を退職。今月は近くの入浴施設の親子体験教室、市民向けの勉強会に出向いて講演を引き受けた。 会場では手製の温水器や調理器のほか、透明な菓子袋に黒い缶を入れて温水を作る方法などを説明すると、参加者からは「試してみたい」との声が上がる。 「石油が高騰し、今までの生活を見直すいい機会」と話す高野さん。「晴れていると空からお金が降ってくるように思います。もっと太陽の恵みを生かさないと」 ペットボトル温水器の問い合わせは高野さん(042・331・3186)へ。 マイタウン多摩
|