環境に順応…といえば聞こえは良いですが、関西では車を運転する機会が少なくなったせいでしょうか、大阪市中心部などの“高速”とは名ばかりの渋滞道路も、いつしか「日常茶飯事」と受容している自分に気付きます。ましてや地下鉄、地下街といった利便性の恩恵は当たり前になり、ありがたみを感じなくなったような気がします。
そんな関西で道路事情に苦言を呈しているのが倉敷市出身で、トヨタ自動車副社長を務めた大阪トヨタ自動車(大阪市)顧問の三吉★(すすむ)氏。関西経済界の“ご意見番”で、大阪商工会議所議員としてもコラムや講演で、長年の整備の遅れを指摘しています。
経済活動を支える道路網は人体に例えれば血管。関西ではあちこちで渋滞による“血栓”が日常的に起きています。三吉氏は地場経済へのダメージに加え、日本の東西を結ぶ要衝である関西だけに、地震など大災害時の代替ルート整備の必要性を訴えます。
わが郷土の岡山県には「井」状の高速道路網が整備されました。望めばきりがありませんが、万一の代替ルートも確保できます。企業誘致にも、物流に欠かせない道路網の充実が大きいようです。
三吉氏は「道路のありがたみは、水と空気のように次第に当たり前の存在になって薄れていく」と言います。県外から岡山に立地し、高速道路や空港を活用する企業を見てみると、地場経済にとってもさらに可能性が広がる資源だと、あらためて感じます。
(大阪支社・大本哲弥)
※★は”しんにょう”に右上が”日”、右下が”隹”。