下関市立大学と北九州市立大学の両研究機関でつくる「関門地域共同研究会」は26日、下関市の海峡メッセ下関で2007年度の成果報告会を開き、両市合併による「関門特別市」の基礎的研究について発表。「特別市構想の今後の方向性」をテーマに両大学の教授ら4人が公開討論した。
討論には、政令指定都市の権限を越えた都市構想を検討している横浜市の橘田誠・大都市制度担当課長も参加。関門特別市の誕生を視野に議論を交わした。
下関市立大の吉津直樹教授は、関門地域の特性について「一体化は進んでいるが、旧5市の特性を残した北九州市と下関市は多核的な都市圏でもある」と指摘。南博北九州市立大准教授は「特別市では、こうした特性を施策やまちづくりに生かすべきだ」と強調した。
橘田課長は「特別市になって広域的な自治体サービスから独立すると、非効率な部分も出てくる。それをどうするかも課題です」と語った。南准教授は「特別市構想には賛否両論がある。しかし、地方分権はこれからも進んでいく」との認識を示し、「関門地域の将来はどうあるべきか。特別市も視野に入れながら議論をする必要がある」と訴えた。
北九州市立大都市政策研究所の晴山英夫所長は最後に「海峡を挟んだ両市の未来の姿はどうあるべきか。特別市構想や道州制の導入で、どんな課題があるのか。今後も関門地域の在り方について研究成果を発表したい」と報告会を結んだ。
同研究会は1994年に発足し、関門地域の連携などを調査研究している。
=2008/06/27付 西日本新聞朝刊=