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MBIAのリスク、見直す余地ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)米金融保証会社MBIA(NYSE:MBI)の債務にかかわるリスクについて言えば、クレジット投資家は間違った見方をしているかもしれない。 こうした投資家は、持ち株会社であるMBIAが、その子会社であるMBIAインシュアランスに比べ、生き残る確率が高いと考えている。住宅ローン市場の混乱で価値が低下した債券やその他の投資商品を実際に保証しているのは子会社のほうだからだ。 だが彼らは全体像をとらえていない恐れがある。子会社の経営が行き詰まれば、MBIAの債務についてもデフォルト(債務不履行)状態にあるとみなされるクロスデフォルト条項が発効する。さらに子会社が、最近の懸念の元凶であるMBIAの資産運用事業にかかわる損失を埋め合わせる前に、親会社が子会社の損失を吸収しなければならなくなるかもしれない。 言い換えれば、子会社が打撃を受ければ、MBIA自身がさらに大きな打撃を受ける公算が大きい。 つまり投資家は、MBIAのデフォルトに対する保証のコストを、少なくとも子会社のデフォルトに対する保証のコストに比べ、過小評価している可能性がある。 MBIAの広報担当者はコメントを避けた。同社は、「生き残る能力について、あるいは保険金の支払い請求に応じる能力について、脅威は何もないと確信している」と強調している。 とはいえ、一部の投資家は、MBIAは複雑な組成の債券の保証による損失を被る恐れがあるため、MBIAの将来は不透明だと考えている。このため信用市場は、MBIAとその子会社の両方がデフォルトを起こす可能性が高まっていることを織り込み済みだ。 ここ数週間、子会社の財務の持久力についての懸念が、MBIA自身についての懸念をしのいでいる。これはどういうことだろう。マークイットのデータによると、通常、こうした懸念は、信用リスクを移転させる取引手法であるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の価格となって表れ、親会社への懸念のほうがより顕著だ。 UBSのクレジットアナリストであるデビッド・ヘブンズ氏は、そうした通常とは異なる見方は「筋が通らない」としている。MBIAが最近調達した約9億ドルを、子会社につぎ込むのではなく、自ら保有し続ける決断をしたことも、そうした見方を後押しする一因となった。 その後間もなく、子会社が格下げされたことが、投資家の懸念をさらに浮き彫りにした。子会社による投資商品の保証はMBIA自身によるもの。1−3月期末時点で、そうした投資商品の価値は16億ドル下落していたと考えられる。 MBIAがそれらの資産を直ちに売却する必要に迫られなければ、この価値下落は必ずしも実現されない。だが最近、子会社が格下げされたことは、いつか資産売却を迫られる可能性があることを如実に示した。 こうした懸念から、投資家は子会社による保証に注目している。この保証が実行される前に、MBIA自身があらゆる損失を埋め合わせなければならないとみられる。 クレジットサイツのアナリストは、「こうした投資商品にかかわるクロスデフォルト条項もMBIAと子会社を関連づけており、双方のデフォルトリスクはほぼ同程度」とみている。投資商品部門の損失は、直ちに実現させれば16億ドルで、これはMBIAの手元資金14億ドルを消滅させてしまう。 だが直ちにそうなるわけではない。これは、MBIAが引き続き真のリスクに直面しており、クレジット投資家は物事を逆に考えているかもしれないということを顕著に示している。 (7月10日付のHeard On The Streetより) Copyright (c) 2008 Dow Jones & Co. Inc. All Rights Reserved. 米DJ記事一覧
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